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78.戦いに備えよ!

 

 セレナに連れられ王宮のエレザの執務室へと入った、ここは有事の際は作戦会議室となるように物が取り揃えてあるようで、所狭しと地図や何かの情報が書かれたものが置いてある。


 その部屋に入ると、すでにエレザは地図を用意し上がってきた書類を手にしながら何やら書き込んでいた。


「陛下をお連れいたしました」

「ご苦労、リメリア、陛下もわざわざご足労頂きありがとうございます」

「それで何が分かった?」

「リメリア、話せ」

「ハッ!近衛師団内調査の末、残念なことに内通者がいたことを突き止めました。さらにその呼応した人数は、およそ2千とのこと」

「どういうことだ?」

「ハッ!私の管理ミスでこのような……」

「もう一度言ってみろ!!」


 エレザは怒りに耐え切れなくなってしまったのか、持っていた報告書の束をセレナに投げつけた。


「私の監督不届きでこのようなことになってしまいました。返す言葉もございません」


 戦場では凛々しい姿のセレナは、この状況では親に叱られる少女のようにシュンと縮こまってしまっている。


「腑抜けが、お前というものが居てなぜこうなる!恥を知れ!?」

「まぁ落ち着いて、怒りがこみあげてくるのは解るけど、このままここで怒鳴り散らしても何も変わらないし、現に悪いのはセレナじゃなくて帝国軍なのだから。こういう言い方はよくないかもしれないけど、いったんそのことは置いておいて、今ある情報を全て教えてほしい、そうしないと実行部隊は何もできないよ?」


 これ以上のエレザのヒートアップを抑えるため、ここでいったんストップをかける。


「し、失礼しました、陛下の御前でこのようなことを……気を取り直して、今上がっている情報を述べると、帝国軍の特務部隊と反旗を翻した近衛師団の一部は、現在リレイの情報通りエルシダートから約20㎞の距離に堂々と陣を張っており、その陣の旗は王国軍のものが使われています。現地警備部隊もまさか帝国軍が隠れていたとは思っていなかった様子で、偵察に向かった情報部からの情報によると、敵は総勢2500名余りがいる模様、しかし女王陛下の姿はそこには見受けられず、そことは別の場所に移されている模様です。以上が現在わかっている情報です」


「わかった、後の細かい位置とかはこれから俺が指揮する部隊にやってもらうから、それ以外に情報が無いようならすぐさま部隊を出撃させるよ」

「「お願い致します。陛下と我らに栄光あれ!!」」


 俺が部屋を出た後、まだなにやらあったようで怒鳴り声がきこてくるが、俺は再び警備隊の訓練所へと向かっていく。


 訓練場につくと、俺からピリピリとした空気が伝わったのか、全員が再び整列していた。


「諸君、いよいよ出撃だ!短い時間ではあったが、能力のおかげもあっていくらか動かし方はわかってはいると思う。心配もあると思うが、君たちならこの後もうまくやってくれると俺は信じている、そしてこの後だが城外で待機している戦車部隊に先行してもらい、最初に偵察を行ってもらう、その指揮官にはリレイとユリーシャ、ベル、シルヴィアを充てる、連隊長はベルが務めろ。すでに敵情偵察に出ている一部の“メランオピス”隊は、戦車連隊と合同で任務に当たるように。そして後発部隊のヘリボーン部隊は、コールサイン“アエトス”、出発予定は3時間後だ。以上、ここまでで異議があるものは?……ないな?よし!戦車連隊は出撃!“アエトス”隊は戦闘準備!」


 聞き終わると全員が無言で敬礼をした後、一目散に目的の場所へと走り出していく。


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