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514.ベルとリレイと

 

 ベルとリレイは暑いからという理由でビキニタイプの上下一体型の白い水着を着て来ており、ベルは水色の生地に白の水玉模様、リレイは黄色の花柄の水着だ。

 水着の上に薄い上着を羽織ってはいたが、日差しが強いので、肌が焼けるのを防ぐために日傘を差している。

 島の中央に位置する山は標高500mほどあるが、島の南側にある海岸は200~300メートル程の高さがあり、そこからは綺麗な海が見渡せる。

 その海岸を少し歩くと、岩肌が露出した場所が見えてきた。


 どうやら、あそこに砲台が設置されている所らしい。

 ここに設置されている沿岸砲は45口径51cm3連装砲という統合戦艦等にも搭載されている主砲と同様のものだ。


 対空・対艦ミサイル等も集中配備されている中、これほどの巨砲は必要ないように見えるが、この砲は統合戦艦等に搭載されているものをは少し違い、最新の全自動射撃管制装置と全自動装填装置を組み合わせたことにより、発射間隔が4発/毎分から12発/毎分と向上しており、加えて新型対空榴弾も発射可能なので、対空対艦両方に対応できるようになっている。

 この巨大な沿岸砲を見てリレイとベルは興奮気味だ。

 そして、この大砲は全部で24基72門あり、島内4か所の海岸付近に設置してある。

 この砲台は、帝国海軍の奇襲と以前遭遇した巨大海洋モンスターを想定して作られたもので、最大射程距離が250kmもあるため、その威力がどれほどのものか分かるだろう。

 これらの装備が、このプライベートアイランド改め要塞島の主戦力となっている。


「すごいですね! こんな大きな大砲見たことありませんよ!」

「ああ、これは凄いな」


 ベルとリレイは陸上兵器しかこれまで見てこなかったので、海軍が装備している巨大な艦載砲と同様の砲を見るのはこれが初めてだ。


「それにしても、こんなものよく作れましたね」

「まあ、この国の今の技術力なら作れるんじゃないか?」


 転移した直後は工業力がかなり低く、造船や製鉄すら人力で行われていた状態でこんな巨大な砲台等作る事すら考えられなかったが、今やLiSMのおかげもあってこの国の工業力は目覚ましい進化を遂げた。

 そしてその進化の速度は魔法との合わせ技でさらに加速している。


「そうかもしれませんが、やはり凄いですよ」


 ベルは目を輝かせながら、目の前にある巨大な砲身を見つめている。


「確かに、これだけの兵器があれば、どんな敵でも倒せそうですね」


 リレイが沿岸砲を見ながら呟く。


「まずは試射をしてみましょうか。ワタ様、宜しいでしょうか?」


 ベルが俺に許可を求めてきた。


「そうだな。実際に撃ってみてどういうものなのか見てみたいな」


 近くにいた女性兵士に声を掛ける。


「陛下の御命令とあればすぐに実行いたします。それでは早速始めますので、射撃指揮所に待避願います」


 発射時にすさまじい爆圧と爆風で非常に危険なので、兵士の指示に素直に従い後方の射撃指揮所に向かう。


「これより試射を行います。総員退避してください」

 アナウンスと同時に警報音が流れると、他の兵もその場から離れていく。

「発射用意」

「発射用意よし!」

「撃てっ!」


 沿岸砲中隊中隊長が命令を下すのが聞こえると、一瞬遅れて耳をつんざくような轟音が響き渡る。


「うおっ!? びっくりしたぁ……」


 あまりの音の大きさに思わず声が出てしまった。


「陛下、大丈夫ですか? 怪我とかしてないですよね?」


 陸の戦場では現状感じることのない轟音を聞きベルが心配そうに聞いてくる。


「ああ、俺は問題ないぞ。それよりベル達は平気だったか?」

「ええ、りゅう弾砲や戦車砲の砲撃で多少は慣れているのでなんともありません」

「そっか、それならよかった」

「それで、あの巨大な砲弾はどうなったんだ」

「はい、ご覧ください」


 ベルが指さす方向を渡された双眼鏡で覗くと、遠くに見える岩礁がきれいに吹き飛んでいるのが見える。


「あれだけ離れているのにここまで届いて、岩礁を吹き飛ばしてしまうとは……」


 これまでも戦艦大和の主砲の砲撃を見て来たが、改めてそれより大きい45口径51cm砲を見て俺は驚きを隠せない。


「これは……とんでもないな」


 その後、数回に渡り沿岸砲による試射が行われたが、全て目標としていた岩礁に命中し、綺麗に吹き飛ばした。


「これで、敵の上陸に備えられそうですね」

「そうだな、でもその前に周辺海域を埋め尽くすように海軍と沿岸警備隊の艦艇が常時警戒しているから、この砲が火を噴く事はほとんどなさそうだけどね……」

「とはいえ、250kmの射程もあれば周辺海域に居る味方艦隊に対して援護射撃が行えますよね?」

「流石リレイ、その通り!」

「ですので、陛下。この沿岸砲は是非とも増産していただかなくては」

「そうだな、この砲は沿岸砲としてではなくて、今後は国境の要塞砲として国内の国境地域と中央諸国連合やエンペリア王国に配備させたいし、出雲国の帝国側の沿岸に設置することで、直接帝国の港を攻撃出来るようになるから、かなりの抑止力向上に繋がるからなおさらだな」


 試射に満足した俺たちは、兵達にお礼をしてベルとリレイ共にホテルへと戻った。




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