496.ダンジョン出現2
「陛下、朝食をお持ちしました。それと先ほどの件でご報告がございます」
「ありがとう。報告って言うのは?」
「はい、私もかなり驚いておりますが、後宮地下にダンジョンが出現いたしました」
「何だって?」
その突拍子もないウェリスからの報告に驚いてしまった俺は素っ頓狂な声をあげていた。
後宮地下にダンジョンが出現したというのだから当然だろう。
「驚くのも無理はありません、普通は北部や西部の山間部に多く出現するのですから、都市部、ましてやこの後宮に出現するのはあり得ないので……」
「それが、よりにもよって後宮内部とは……。原因は?」
「原因に関してはエミリア様が探っているそうですが、まだはっきりとしたことはわかっておりません」
「引き続き調査する必要がありそうだな、とりあえず俺はエイダに電話しないとな。ウェリスはベッドの二人を起こして着替えさせて避難の準備を、カシャはエレオノーラとメリアをここに呼んでくれる?アンナは俺の装備一式を隣の部屋からもってきてくれる?」
「「「はいっ!」」」
俺は一先ず部屋の中にいるメイド達に指示を飛ばすと、すかさず内線で後宮大臣のエイダにつなぐ。
彼女はこれまで俺と直接的にかかわる事はあまりなかったが、俺が後宮に来てからずっと裏方として支え続けてくれていた。
そんな彼女は今回そういった裏方として支え続けて来た事を評価され、また裏方にいたことによって全体がどんな状態であったかという事もよく把握していたということもあり、後宮全体の行政を司る後宮大臣という役職についていた。
「おはようございます陛下」
「おはようエイダ、もうダンジョンの事は聞いてる?」
「はい、現在エミリアメイド長が原因を調査中という事、ヴァイオレットガーデン隊がダンジョン内を偵察中という事も把握しております」
「それについて何かもう動いていたりする?」
「はい、もちろんでございます。今丁度後宮防衛庁・警察庁の全隊員に第一種戦闘配備を発令したところでして、両陛下の避難後、直接戦闘に参加しない職員は一度後宮外に避難する手筈となっております」
早速エイダは各部署に指示を出していたようで、これまで起きている事のほぼすべての状況が頭に入っていた。
ここまでしているとは流石としか言いようがない。
「エイダ、流石だね、君を大臣にして正解だったよ」
「陛下より直々にお褒めの言葉を賜れるとはこの身に余る光栄です」
「そんな事無いさ、後は後宮外のことだが……」
「そちらもご安心ください、既に後宮外に万が一魔物がでてしまっても対応できるように、セレナ閣下に近衛第三師団の配備を依頼しております」
エイダはさらに万が一の事まで考えて、後宮外の周囲を近衛第三師団に取り囲んでもらう事もセレナに依頼していたようだ。
「ホントに流石だよ、エイダ。じゃあ、後は任せた」
「御意」




