488.忍者みたいな料理人
エビファイはエグザードの広場に逃げるとこちらに振り向いく。
「あなた達は愚かですね。2人で私に敵うとでも?」
「それはこちらのセリフだ!お前に勝算があるとは思えないな」
「ありますよ」
魔法を唱えるとエビファイが2人、10人……とどんどん増えていく。
「リアリティ・デコイ、質量を持った分身で武器にも質量を持たせることができます。ですのでこのように……」
分身したエビファイが空高くジャンプし、一斉にMP5Kを乱射する。まるで雨のように弾丸が飛び交う。
「ワタ!」
「くそっ!」
この広場では隠れる壁紙ない。四方八方に飛んでくる弾丸を防ぐ方法はない。
(ここまでか……)
しかし飛んできた弾幕は次々と消える……、というより地面に落ちていく。
その状況を理解できたのはエレザだけだった。
「全く、来るならさっさと来い」
「お待たせしましたエレザさん、そしてお久しぶりですねワタ」
突如目の前に現れた黒いパーカーを着てエメラルド色の剣を持った男……イスフェシアの勇者、“オゼット”である。
「ちっ、しかし1人増えたところで私に勝てると思いで?」
「2丁持ちサブマシンガンの男、お前があの時の!」
「皆まとめて死になさい!!」
分身が撃った弾幕はオゼットがタキオンソニックを発動して全て弾く。その間にエレザと俺でエビファイ達を撃っていくと姿が消えていく。どうやら分身は一撃を与えると消えるらしい。
エレザは目を閉じて集中すると分身は周囲には魔力の塊が感じる、これは分身だ。そして1体だけ魔力とは別に気配を持った個体を感じる……。
「そこだ!!」
エレザは気配を持った個体にSIGP226で撃つ。撃たれてエビファイは倒れると周囲にいた分身は消えていく。
俺とオゼットはエビファイに近づいて銃と剣を向ける。
「終わりだ。エビファイ」
「まさか私のリアリティ・デコイを見破るとは……しかし私が負けても“私達”の勝利は揺るがない!」
「何!?」
「上を見なさい」
エビファイが空中に指をさすと上空には赤い球体が浮いてどんどん大きくなっていく。
「あれは先程、観客達や警備共をモンスターにした結界と同じ効果がある粒子の塊です。あれを爆発させればこのコンダート王国に住む全ての人はモンスターになり、獣の国へと変わるでしょう。そうなれば休戦協定も関係なく私の力でこの国全てを支配できます……私達の勝ちです!!」
エビファイが話しているとモンスターが近づいて俺達を囲む。
「おい、お前確かその魔石でモンスターを意のままに命令する事ができるって言ったよな?」
俺はエビファイからモンスターを操る魔石を奪ってモンスターを制止するように命じる。しかしモンスター達は暴れるのを止めない。
「無駄ですよ。それは私にしか使えないし私が絶対にモンスターの暴走を止める気はありません!」
「そうか……オゼット、ここは俺達に任せて君はメリア達のところに向かってくれ。すぐに追いつく」
「わかりました」
オゼットはメリア達がいる所に走っていく。彼の姿が見えなくなったのを確認すると俺は魔石を上に投げると銃を撃ち、魔石を砕いた。
「な、何をするんです!?」
「これでお前はモンスター達を操ることが出来なくなったな」
「そんなことしてもこの状況を変えられませんよ!?」
エビファイの叫びに癇にさわったのかモンスター達はエビファイに集まってくる。
俺はエビファイの両足を撃って動けなくしてからこの場を離れることにした。
「ま、待て!」
エビファイの声は虚しくモンスターはエビファイの頭を鷲掴みにして大きな口を開けた。




