487.進撃のモンスター
マスルに優勝トロフィーを授与する中、エビファイはポケットから魔石を取り出して上に投げ、それを炎の魔法で壊すとエグザードに薄い結界が張られる。
結界内にいた観客は全てではないが、みるみるうちにモンスターへと変わり始めた。
陸軍憲兵隊や王立警視庁首都警備師団の隊員の内何名かもモンスターへと変わり混乱している。
「貴様、何をした!?」
「いえ、この結界内にいる人々に実験をしているだけですよ。この結界内にいる人は一定以上のストレスを抱えているとモンスターへと豹変するようになっています。そして私はモンスターを操るこの魔石がある限り、こいつらを意のままに命令する事ができます」
エビファイは厨房に置いてある鞄からMP5Kを2丁取り出して俺達に銃口を向ける。
「さぁあなた達!憎き国王共を殺しなさい!!」
モンスターとなった観客はエビファイの指示に従ってワタとメリアを襲い始める。
「させない!!」
エレオノーラとエレザはモンスターの足を撃って動きを封じる。
俺はSIGP320を取り出してエビファイに目掛けて撃った。
しかし、彼はその弾丸を見切って避ける。
(噓だろ!?)
「コンダートの国王は美女に守られてばかりで自身は無能だと聞いたことがありますが本当のようですね。お粗末な攻撃です」
「……あ?」
エビファイの挑発に俺は思わず乱射する。
しかしエビファイはそれを避けて2丁のMP5Kを乱射した。
その弾幕はモンスターになった観客ごとハチの巣にしてしまう。
急いでステージ裏に隠れて弾幕を防いだ。
一方、イスフェシア皇国の3人はどうしようか悩んでいる。
「どうするマリー様?」
「私はとしては助けてあげたいのだけれど……2人共、力を貸してもらえないかしら?」
「これはコンダート王国の問題ですから私達には関係ないでしょう。早くオゼット君を呼んで帰……」
アルメリアがマリーを連れて行こうとした瞬間エビファイの弾丸がマリー女皇の目の前で止まった。よく見るとマリー女皇の目の前には氷の壁が空中に浮いており弾丸を防いでいる。これはアルメリアの能力で3人の周囲には-219度の冷気で空気中の窒素や酸素が凍って壁を作っていたのだ。
この能力に付け加えてアルメリアは審査員全員に温度の影響を受けない魔法を使ってこの冷気の影響を受けずに透明の壁を隠していたらしい。
そしてその弾丸を見たアルメリアはエビファイを見下す様な目で見る。
「マリー様に……危害を加えようとした?」
「おうアルメリア。売られた喧嘩は買うべきじゃねぇか?」
「マリー様に危害を加える者………死あるのみ………」
「そう来なくちゃな!」
角を生やした鬼人、モーレアは拳でモンスターを殴ってマリー女皇やワタ達に近づかせないようにしている。
「モーレアさん!」
「おうエレオノーラ。またお前と共に戦えるとは嬉しいぜ!」
「私もです」
エレオノーラとモーレアは周囲のモンスターを無力化するためにモーレアが地面を叩いて地割れを起こし、モンスターの動きを鈍らせるとエレオノーラがソニックストライクでモンスターに電流を帯びた剣で気絶させていく。
一方、エビファイの弾丸は氷の壁に当たって跳弾してそのままエビファイのところに戻っていく。それに応じてエレザと陸軍憲兵隊と王立警視庁首都警備師団の隊員達は追撃を喰らわせる。
「くっ!」
エビファイは魔法で煙幕を張って逃げようとする。しかし俺は奴に一発当てないと気が済まなかった。
「待て!」
俺とエレザはエビファイを追う。それを見たマリー女皇はアルメリアに援護してあげてと指示を言う。
「私はマリー様をお守りするのが使命、それに国王のもとには“彼”を向かわせたので大丈夫です。私達はこの結界を破る方法を考えましょう」
「わかりました。国王よ!ここは私達に任せてあなたはエビファイを追って下さい」
「ありがとう。マリー女皇!」
アルメリアは空中に魔法を展開させると魔法陣から氷柱がモンスター達に目掛けて飛んでいく。
俺とエレザは逃げたエビファイの後を追う。




