42.コンタクト
一時間ぐらいたって、そろそろ本陣に戻ろうとしたころ、どこからか何かが近づいてきた。
「隊長!何か来ます!」
馬蹄を響かせ、ものすごい勢いで騎士の一団がこちらに向かってきていた。
「どこの部隊だ?さっきの情報だと敵は200だけだと聞いたが……」
向かってきた一団の先頭には見覚えのある女性がいた
「隊長!あの先頭にいるのはセレナ様です!」
「どうやら、お迎えのようだな、そんなに急いでどうしたんだろうな?」
息を切らせながらこちらにやってきたセレナは、近づくや否や焦った様子で話し出す。
「さっきの敵は何処だ?いないようだが逃げたのか?」
「もうとっくに全滅させたよ、あそこに跡が残ってるよ、これがこのLiSMと“銃”の力のだよ、わかってくれた?」
指をさす方向にはすでに鳥や獣が集まり、不気味な雰囲気を醸し出している。
「そ、そうか、ワタのくせによくやったな」
「まぁ、本気を出したらこんなもじゃないけどね」
「今しがた、伝令からハミルトン城近くに敵先遣隊が接近中との報告が入った、急ぎハミルトンに向かうぞ!」
「わかった、俺らがこれで先行して足止めをしておく」
「あれを簡単に片づけられたようだしお前なら足止めぐらい何とかなるだろな」
「うるせぇ!俺らに任せろ、悪いがベルは本隊に戻って指揮を執ってくれ」
「りょ、了解」
ベルは離れることを一瞬嫌がったが、考えを改めたのか明るい笑顔で返礼してくる。
「(まぁ……くれぐれも死ぬなよ?)」
セレナは最後に何かを言っていたが、恥ずかしそうに下を向いていて、結局何を言っていたかわからなかった。
俺らは先ほど使っていたハンヴィーに乗り込み急ぎハミルトンへと向かった。
途中敵の歩哨に出くわしたが、シルヴィアやミレイユの狙撃によって排除されていった。
ハンヴィーに乗っていくと、ものの1時間で現場に着いた。
現場まで(100km/hで)急行してきたわけだが、普段乗り慣れていないためかベルたちは椅子にもたれかかって息も絶え絶えの様子だ。
今いる場所から前方に約800mの場所にハミルトン城が見える、今ちょうど敵部隊が攻めようとしている最中だ
「おい!大丈夫か!もう目の前にはハミルトン城だぞ!総員戦闘準備!」
「「「了解!!」」」
皆、のりもの酔いでつらそうな顔をしていたが、こんな状況ではそうもしていられないと自身を奮い立たせ、再びSIG716、HK416にマガジンを挿し込み臨戦態勢を整える。
ただこの人数でこの装備(M2、HK416、SIG716)ではやはり心もとないのでここでも兵器を追加で召喚しておく。
ここで選んだのはM249Paraという軽機関銃で、これもアメリカ軍で正式採用されているM249の空挺作戦用である、もとはベルギーのFNH社で生産されていたFN MINIMIをアメリカ国内で国産化したもので、アメリカのFNH社の現地法人のFNHUSA社が生産している。
この銃は5.56×45mmNATO弾を使用しベルトリンク給彈方式にマガジンでの給彈も可能、最高で毎分800発打ち出すことが出来、最大有効射程は点目標で600mほどある。
ちなみに、FN MINIMIを日本の自衛隊も使っておりこちらは国内の企業がライセンス生産という形で生産し使用している。
早速、この銃を召喚し渡す。
「この銃は……キューレが持っていてくれ」
「本当にいいの?ワタ?でもこの銃って前にベルたちが持っていたのと、短いの以外何処となく似ているよね?これは何が違うの?」
「そうだね、この銃はこの前のM240と比べて弾も小さいし、短いし軽い、その分取り回しがききやすいし持ち運びやすい機関銃なんだ」
「小さいけど、あれと同じマシンガンってことだね!頑張って使ってみるね!」
キューレはみんなと違う銃を渡してもらったことに喜んでいるのか、小躍りしている。
「いよいよだな、久々に暴れさせてもらうよこのHK416ともにな!」
エレザは久々の大きな戦とあってテンションが上がっているようだ。
「私は何処へでもお姉さまについて行くわ!悔しいけどこの武器気に入ったから、しょ、しょうがないからワタにもついてくよ」
ミレイユはこの銃をよっぽど気に入ったのか、大事そうに抱えている
「よし!シルヴィア以外全員扉を開けたまま降車!弾込め!」
「「「了解!」」」
「降車し次第車の扉に付け!そのままこの車で前進するぞ!」
俺は運転手を務め、シルヴィアには屋根のM2を撃ってもらうことにして、降車した5人には扉と車体を盾に射撃しながら進む。
敵はこちらの動きを全く感知しておらず、そのまま攻城戦に突入しているようだ。
「敵はもうすでに城を攻撃し始めている、このまま城門に向かって強行突破するぞ!」
「突撃開始!!前進!」
俺たちは城に向かって進撃を始める。