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469.魔法での判定

 

 ウェリスがかけた魔法によって紅茶が濃い緑色に淡く光る。

 魔法をかけた箇所がこの光の色に光ると入っているのが致死性のある毒である事がわかるようになっているらしい。


「シエスタ、これはなんだ?」

「わ、わたしは魔法の事はあんまり詳しくなくて何のことだか……わかりませんわ」

「シエスタ殿下、この期に及んで、知らないふりをするつもりですか?これは我が国に対しての明らかな敵対行為ですよ!」


 煮え切らない態度を示すシエスタを見て我慢の限界に来ていたユリアはついに怒りをあらわにした。

 シエスタはウェリスが魔法を使ったあとからかなり動揺しはじめ、その証拠に話し方が変化していた。


「魔法で毒物だと結果が出ているが、それでも認めないつもりか?」

「ま、魔法で結果が出たとしても、それが確実とは言えませんわ!」

「なるほど、魔法だと不確実なときがあると……、一理あるな」



 俺はシエスタの言葉を聞いて妙に納得していた、確かに魔法でもそれが毒だと判断できないものかもしれないと。

 何故俺がそういった考えになったのかと言えば、正直この世界の魔法については詳しくはないからだ。

 ただ、そのままではまずいと思っているので近々魔法学校に学びに行こうと思っている。


 聞いた話ではこの「サーチポイズン」自体毒である可能性があるものに対して反応を示すものになっているので、あくまでも簡易検査キットのような使い方しかできないらしい。

 確実に人体に対して毒物であると判断する魔法はあるらしいが、高位の魔法使いぐらいしか扱える人がいないので、この場においての判断材料としては一定の価値はあると思っている。


 とはいえ、これまで魔法のことが詳しくないと言っていたシエスタが急に魔法の事を話し始めることにはかなりの違和感があるが。


「そ、そうですわ!私は無実ですわ!」


 俺が同意を示すと、シエスタは表情を少し明るくさせる。

 そして、シエスタは今が好機とばかりに無実を訴える。


「……、だとしても“科捜研”にこの毒物らしきものを科学的に調べてもらえば問題ないよね? 」


 魔法が確実ではないのであれば“科捜研”で科学的に詳しく調べてもらえばよいので、その結果を待てばいい。


「かそ?何ですのそれは?」

「国家警察庁科学捜査研究局というところのことだ、要はここで君が今使った毒物をさらに詳しく調べる事が出来て且つサーチポイズンよりさらに確実な結果を出す事が出来る場所だ」


 科捜研がどういうものかの説明を聞いて自分にとってそれがかなり不利な状況に追い込まれた事を理解したシエスタは、一気に血の気が引いていく。


「エレオノーラ、彼女を捕縛しろ」


 これ以上話し合っても埒が明かないだろうと判断した俺はエレオノーラにシエスタの捕縛を命じた。


「はい、ご主人様」

「やめてくださいまし!私は中央諸国連合の王女ですのよ!」

「今はそんなこと関係ないの!大人しく両手をこちらに出しなさい!抵抗するなら撃つ!」


 エレオノーラは左腰に付けていたテイザーガンをじたばた暴れる彼女のお腹付近に向ける。


「大人しく捕まりなさい!」

「やめて!離して!」


 最後の抵抗を見せるシエスタの背後からウェリスが羽交い絞めする。

 それでも暴れるシエスタにエレオノーラは最終警告を発する。


「シエスタ、これが最後よ、大人しくしなさい!」

「いやよ!こうなったらっ……、ああああ!」


 最終警告を無視し、さらにシエスタの首輪が光だし“何かを発動”しようとしたため、エレオノーラはシエスタに向けてテイザーガンを撃った。

 テイザーガンの針がシエスタに刺さったと同時に、大きくのけぞり痙攣をおこし、自由に身動きが取れなくなっていた。同時に首輪の光も消えた。

 その隙にエレオノーラはミリタリーカフ(簡易手錠)をかけ、また暴れださないように睡眠魔法をかけた。


「エレオノーラ、ウェリスと一緒にそのままアルダート城の地下に連れていけ」

「「はい、お任せください」」


 そのまま二人によってシエスタはアルダート城の地下へ連行されていった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 俺はシエスタの言葉を聞いて妙に納得していた、確かに魔法でもそれが毒だと判断できないものかもしれないと。 →その魔法の効果を知らないと自分で言っているようなものですね。 魔法だと不確実…
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