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467.手紙

 

 俺とメリア、エレオノーラの三人はおにぎりと味噌汁を食べ終わるとベッドルームへと向かった。


 ベッドルームに来たのは、丁度見送りが終り後宮に向かう道中で俺がメリア手紙の事を聞こうとしたとき「私の部屋で話しましょ」と言われていたからだ。


「ワタはちょっと待っててね、あとエレオノーラは部屋の外で誰も来ないように見張ってて頂戴」

「わかったよ」

「はい女王陛下」


 部屋に入って早々メリアはタンスの中を探り始めた。

 恐らくディエナが言っていた“手紙”を探しているのだろう。


 ディエナから“手紙”の事を言われた時、メリアは何の事かわからない様子だったが、今の彼女の様子を見る感じ、あの時はわざと知らない素振りを見せていただけだったようだ。

 探し始めてしばらくすると、メリアは一通の封筒を取り出してベッドに腰かけた。


「あったわよ、ワタもこっちに来て」


 メリアは俺に隣に座るよう、ベッドを軽く叩いて誘う。

 俺がメリアの隣に座るとその手紙を手渡してくれた。


「どれどれ……、えっ?えっ?」


 俺は渡された手紙を見て驚きしかなかった。

 まず、その封筒の表にはまず“推薦状”とかかれており、手紙を読んでいくと至る所に俺の元居た世界での“フルネーム”が書かれていた。


「いったいこれは?」

「内容は読んだ通りよ」

「じゃあ、これをもとに?」

「そうよ、これのおかげで救われたというのはあるわ、でもどういう目的でこれを送って来たのかさっぱりなのよね。しかも、この手紙の差出人も誰かもわからないままなのよね……」


 内容はともかく、俺はメリアの言う差出人がわからないという事が気になっていた。


「今日ディエナが『手紙のことを覚えているかしら?』って言っていたなら、彼女の可能性も有るよね?」

「そうだったらいいのだけど……、封筒の裏には全く知らない文字のようなもので書かれているのはあるにはあるんだけどね」

「ん?裏?」


 俺はその「全く知らない文字」とやらがどんなもので何が書かれているのか気になり封筒を裏返す。


「……」


 封筒の下の方には見慣れた3文字が書かれていた。

 それを見た俺は目を大きく開き、絶句する。


「ワタ、これがどういう意味か分かるの?」


 メリアの問いに俺は静かに頭を縦に何度も振った。


「そう、やっぱりね、ワタだったらこれが誰の名前かわかるって何となくそう思っていたわ。それと、それを誰が書いたかもわかったのよね?」


 俺の脳は会議の時から立て続けに想定外の事が起こりショート寸前だった。

 そして封筒の裏に書かれた“見慣れた草書体の漢字”で名前が書かれていたことがとどめを刺した。

 それ故にメリアの問いかけに頭を縦か横に振る事でしか答えられなくなっていた。


 それから俺はショックから放心状態になっていた。

 俺が放心状態になっている間、メリアは俺に優しく黙って寄り添ってくれた。


 しばらくして、俺の脳がようやく動くようになった時、とあることが頭に過る。


「メリア、これっていったいいつ送られてきたの?」

「そうねぇ、今から10年前ぐらいかしら……、それがどうかしたの?」

「そっか、これで確信が持てたよ」



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