465.休戦協定2
帝国から出された条件の内容はこうだ。
・コンダート王国、エンペリア王国、出雲国に避難又は難民申請した住民をこちらに送還すること
休戦によって戦闘は行われないのでそちらに逃げて住む理由がないと考えられる為。
・コンダート王国、エンペリア王国、出雲国が管理する領域にいる帝国国民を即返還すること。
我が国民を貴国等の管理下に置くのは許しがたい屈辱的な事であるという認識から、即刻管理下にある領域から国民を帝国領へ輸送すること。
・イスフェシア皇国並びにテレン聖教皇国について3か国は一切関与しない事
現在も交戦中のイスフェシア皇国とテレン聖教皇国に直接的軍事支援や間接的軍事支援等といった支援を行わないこと。
兵器供与やそれらに必要な部品などの供給なども一切行わないこと。
・許可なく帝国領土内への政府に属するもの若しくは行政機関に属するもの又はそれにかかわりがあるものの侵入を一切禁ずる。
当然軍関係者も同様である。
「以上が我がデスニア帝国側から提示する条件になる」
ハルト・アルセウスが話終えると同時に間髪入れず外務大臣のカイルが立ち上がった。
「人道的な観点から難民の返還並びに避難民の返還はお断りいたします。但し、管理領域内や王国国内にいる帝国国民が帝国国内に帰りたいという希望があるのであれば、我が方が責任もって送り返しましょう」
その反対意見にアルセウスが即座に切り返す。
「いや、そちらでわが国民が不利な立場になるやもしれん。事実貴国内に避難していったわが国民が既に被害を受けている。こういった事実がある以上そのままにしておくわけにはいかん」
「そもそもそちらが我が国に侵攻するからこうなったのではないか!そちらが侵攻などしなければ避難民など出なかったのだから」
「そうだが、実際今侵攻してきているのは貴国等だろう?」
「それは何度も行っているが、我が国に侵攻してきたからそれを二度とさせないようにしているだけだ!それになるべくそちらの国民に被害が及ばないよう事前通達だってしている」
「それ以上は時間の無駄だ、無条件で返還してもらおう」
「しかし!」
その後も決着はつかず話し合いは平行線のままになってしまう。
妥協案として難民申請して既にコンダート王国国民に準ずる人に関しては返還しない事で決着をつけた。
それ以外に関してはおおむねお互いの条件を呑む形で休戦協定を調印することとなった。
今回休戦とはなったが帝国がこれを守るとは到底思えないと俺は思った、今後も帝国国民やモンスターを利用した工作活動等を十分に警戒していく必要がある。
会議が終り、部屋から全員が退出しようとしたときディエナは去り際メリアに向けて一言言い残していった。
「あの手紙のこと覚えているかしら?」
「あの手紙……?いったい何のこと?」
しかし、メリアは何の事かわからない様子だ。
「なら、いいわ、そのうち嫌でも思い出すと思うから。それじゃあまたどこかでお会いしましょう“ワタ”」




