464.休戦条件
まず王国側(エンペリア王国の意見も合わせたもの)の休戦条件がユリアから提示された。
「休戦協定を結ぶにあたっての前提となる我が国とエンペリア王国並びに出雲国の共通した条件を申し上げます。1つ目が軍民問わず捕虜を即時無条件で且つ健康状態が良好な状態で解放すること。2つ目は中央諸国連合の主権の回復、3つ目は我が国と我らの同盟国二か国が既に占領をした領域を一時的に我が国と我ら同盟国二か国の管理下とすること。この三つとなります。それに加えて休戦協定締結後のこちら側から遵守して頂きたいことがございますので、お渡しした紙をご覧ください」
ユリアは“前提条件”を提示後さらに休戦協定を締結した後の“約束事”について書かれた紙を読み上げる。
俺はまだ目の前にいる存在が実の姉なのか否かという事で頭が一杯でそれどころではなかったが、何とか平静を装ったふりをするため紙を見る。
その紙にはこう書かれていた。
・お互いの国境(陸海空全て)を正規軍が超えないようにする。
もし、この条件を呑んだあとお互いの国境をどちらかの国の正規軍が超えて来た場合、この休戦協定は即時無効とする。
同時に帝国領内へ全軍を以って侵攻を再開する。
たとえ正規軍が我が方の領土への侵攻をする旨を事前に通知してきても同様である。
これを破った場合且つ戦争終結した時、無条件降伏以外認めず、また一切の譲歩をしない。
・3ヵ年の間各締結条項をどちらかが破る事が無ければこの休戦協定は有効とする。
締結日から起算して2ヵ年と8ヶ月が経過する前に延長することが可能。
もし、休戦協定を延長する場合は協定締結国全てが延長に賛成しなければならない。
延長を1か国でも拒否した場合、そのまま3ヵ年満了時この協定は無効となる。
・最低でも協定が結ばれている間は一切中央諸国連合に関与しないこと。
万が一中央諸国連合領域への軍並びにそれに準ずる組織が侵入したことが確認された場合、休戦協定を破棄したとみなし、全軍を以って帝国領内への侵攻を開始する。
「……以上です」
ユリアが読み終わるころには帝国側の人間は帝国にとって相当不利な条件を突き付けられ落胆の表情を見せる。
休戦協定を主導していたハルト・アルセウス自身もこの条件を見た瞬間、あまりの衝撃にしばらくの間茫然としていた。
しかし、この条件を突き付けられてもなお女帝と宰相は涼しい顔のままだ。
「……、では、こちらからも条件提示させていただきます」
ショックから何とか立ち直ったハルト・アルセウスは持って来た巻物を見ながら帝国側の条件を話し出す。
「帝国としての休戦する前提条件は2つ、一つは我が帝国領からの即時撤退。次に捕虜と貴国等領域にいる帝国臣民の即時返還。これを提示させていただく。また休戦協定後受け入れて頂きたい事はお手元の資料を見て頂きたい」
帝国側が用意した紙に条件について簡単に書かれていた。




