455.デッドオアアライブ2
そう思ったのはレナが持って来たのはおどろおどろしい見た目をしたカレー的な何かであったであったからだ。
匂いは完全にカレーそのものなのだが、見た目が非常にグロテスクでルーからは紫色の煙がもやもやと漂っていた。
「レ、レナ、これはいったい?」
「え?カレーですよ?」
「カ、カレー?」
レナは俺の問いに、首を傾げる。
その様子を見てキューレとシルヴィアは身の危険を感じ、静かに席を立つ。
「カレー、匂いスル、食べル!」
しかし、ミサはカレーの匂いに我慢できず、いつものように勢いよく一皿を平らげてしまう。
「グハッ!」
そのまま、ミサは口から色んなものを噴き出し、白目を剥いたまま後ろにあおむけになって倒れこんだ。
倒れたミサは陸に打ち上げられた魚の如く、体を時折跳ねさせていた。
「お、おい!ミサ!」
「駄目です、意識がありません!」
「すぐに救急救命隊を呼んで頂戴!」
すぐにレナはミサに駆け寄り応急処置を施そうとする。
メリアはすぐに後宮管理庁後宮医療局の救急救命隊をシルヴィアに呼ぶように指示を飛ばす。
そして駆け付けた救急救命隊によってミサはストレッチャーで運ばれていった。
色々ツッコミどころがあるので、ミサが運ばれていくのを見届けると、なんでミサが倒れたのかわからないという表情をしているレナに俺は質問をすることにした。
「レ、レナさん?これに何を入れたのかな?」
「えっと、まずタコとイカとエビを入れました」
ここまでは至って普通だ。
「そ、そのあとに?」
「見た目がさみしいなぁと思ってマグロの目を入れました」
「ま、まぁ、そうだな」
ここまではまだ許容範囲だ、しかし、次の瞬間レナの口から衝撃的な言葉が発せられた。
「そのあとにスパイスが必要だと教わったので、薬草を10種類ぐらい入れて、さらにマンドラゴラも入れてみました!」
「レ、レナさんや、薬草とはいったい?」
その後薬草の名前を全て言ってくれたが、それらは全て魔術師が毒物をつくる際に使う代物ばかりだった。
特にマンドラゴラは猛毒キノコだ。
こんなものが入ったカレーを平然と食べさせようとしたレナが怖くなってきた。
もしミサがこれを食べなかったら、俺は今頃ミサと同じく搬送されていたのかもしれない。
そもそも、誰がレナにこんな適当な事を吹き込んだのだろうか?
「はぁ、なんてことを……。そもそも誰に教わったんだ?確か軍の炊事部隊で修行してきたんだろう?」
「はい、確かにそこでも学んできましたが、そのあとにローザ殿下からも教えてもらったんですよね。何が間違っていたんでしょうか?」
(ローザお前もか!)
まず間違いなくこの恐ろしい料理を吹き込んだのはローザだろう。
彼女は小さいころから王宮で育ったので、毎回運ばれてくる料理しか食べていないはずなので、料理をしたことがない彼女がまともな知識があるとは思えない。
武術に長け、指揮官としても優秀になって来た彼女であったが、料理は壊滅的だった。
「レナ、あなたにはまだ人前に料理を出せるレベルにないわ、私が教えてあげる!」
「本当ですか!光栄です!ぜひ!」
こうしてメリアはレナと一緒に料理の特訓をすることになった。
しかし、俺は不安しかなかった。
翌日
出て来たのは見た目が完全に普通のビーフカレーのものだ。
嫌な予感しかしなかったが、メリアとレナの謎の圧に気圧され、食べるしかなかった。
そして俺は意を決し、カレーを一口口の中へと誘う。
「頂きまーす……、グハッ!」
それから俺は意識がなくなっていた
メリアがやったことは見た目をよくする為にさらに、余計なものを突っ込んだだけだった。
とはいえ、前回のように薬草や毒キノコ類は入れていなかったようなので、一命はとりとめた。
メリアもレナと同様料理についてはダメダメだった。
王国の逆襲編完




