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435.ディア砂漠にて3

 


「ローザ閣下ご報告がございます!」

「何かしら?」


 報告というのは先程行われた威力偵察の事だ。


「第2戦闘ヘリコプター連隊からの報告です。敵は前回の情報で判明していた位置から動いていないことが確認されました。なお偵察時にAH-64Eが搭載するヘルファイアミサイルとハイドラロケット弾の攻撃によって戦車7両、榴弾砲5門、輸送トラック8台を破壊。さらに機銃掃射によって敵歩兵約1350名を殺傷したとのことです」


 報告によると偵察に向かった第521戦闘ヘリコプター団は効果的な威力偵察を行い、結果敵の戦力の20%を損耗させていた。


「敵の残存兵力は?」

「現在戦車23両、榴弾砲10門、歩兵約8650名が残っていると思われます」

「盗まれた戦車は20両ではなかったの?」


 これまで帝国軍がエンペリア王国軍から盗んだ戦車は20両となっていたが、報告に出て来た戦車の両数(撃破数と残存数)を合計すると30両となっている事にローザは疑問を投げかけた。


「そちらに関しては、統合参謀本部情報参謀総局第1副総局第3局によるとエンペリア王国内で53両が盗まれていることが確認されているそうです。そのうち今この戦域で確認されているのは破壊したものも含め30両となっております」


 統合参謀本部情報参謀総局というのは、昨今の帝国領への反攻作戦に伴って増大する情報を一局に集中させることを目的として新たに組織された機関だ。

 情報参謀総局は軍の情報を統括管理するだけでなく、対工作員作戦や敵地工作、防諜等といった“情報”に関する活動を統括指揮する。


 そしてこの報告を挙げて来た第1副総局第3局は各軍が収集する様々な情報を集約し、その膨大な量の情報をさらに正しい情報かどうか精査し、さらに分析した上、師団以上の上級部隊指揮官や統合参謀本部議長、国王、政府高官に対してまとまった情報を提供する役割を持っている。

 こうする事によってより精度が高く簡潔で必要最低限の情報を軍や政府首脳陣に渡すことが出来、またそれによって精確で迅速な判断がしやすくなる。


「どこかに23両潜んでいる可能性があるのね、その戦車部隊の位置は特定されているの?」

「はい、残りの23両は帝国領内のファフスブルクという町に展開している事が確認されています。この戦車部隊は一週間以上動く様子を見せなかった事から町の防衛用と断定されております。さらに現地情報員からはこれらの戦車部隊の搭乗員に“元”エンペリア王国陸軍兵士も含まれていると報告されており、彼らがいるおかげで何も知らないはずの帝国軍でも運用していると断定しております」

「やはりそうだったのね。いくら帝国軍とはいえそんなに簡単に奪った兵器を動かせるはずないものね」


 訓練を積んで運用もできるようになったエンペリア王国陸軍兵士が裏切り、帝国軍側に付いた事によってこれらが上手くいっている。


「きっとこれは氷山の一角よね、この状況を早く打破しないとエンペリア王国軍部がクーデターを起こしかねないわね」


 間違いなく帝国側はエンペリア王国軍内部に大量の工作員を送り込んでいるはずなので、早急にこれらを排除しなければ最悪エンペリア王国軍がコンダート王国軍に敵対する可能性も有り得る。


「そのことについては既に第5局が対応中とのことなので問題無いようです」


 ローザの想定した事は、当然情報総局も考えていたようで、既にエンペリア王国国内に潜入していた対工作員部隊が作戦を開始していた。

 その成果は既に出ており、クーデターや王族暗殺計画を準備していたエンペリア王国軍の将校たちは彼らによって排除されていた。


「流石ね。これで一安心かしら」

「はい、この作戦はかなりの効果をあげていると聞いているので、安心してよいかと思います」

「報告ありがとう。戻っていいわ」

「はっ、失礼いたします」




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