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429.ディア砂漠

 

 ところ変ってエンペリア王国北東の町ベルテディタから東に25㎞地点。


 ここは帝国との国境をまたぐように存在する広大なヴィア砂漠という名の砂漠の中にある。

 現在この砂漠の国境付近で帝国軍“戦車”部隊と睨みあっていた。


 この地域一帯はエンペリア・コンダート混成集団が担当しており、エンペリア王国北東と帝国中西部を作戦範囲としている。


 司令官にはエンペリア王国国内や帝国南西部一帯の地理に明るいエンペリリア・ローザが任命されていた。

 現在もエンペリア王国第一王女の地位にある彼女であれば“自国”軍の指揮を執りやすく、士気の向上も見込まれるだろうという事も考慮されている。


 ローザが指揮するエンペリア・コンダート混成集団の4分の3以上はエンペリア王国陸軍によって構成されており、コンダート王国軍の役割は構成比率からわかるようにあくまでも彼らの“補助”だ。


 しかし、その役割が事実上崩れようとしていた。

 それは、兵器供与して発足させたエンペリア王国第1・2機械化騎兵師団(コンダート王国陸軍機甲師団に相当)に大きな問題が発生したからだ。




 とある日のエンペリア・コンダート混成集団エンペリア王国陸軍指揮所


「何ぃ?戦車が盗まれただと?」


 エンペリア・コンダート混成集団副司令官のエイデン・ガルド中将は部下の報告を聞いて驚きのあまり素っ頓狂な声がでてしまっていた。

 さらにガルド中将の顔は一瞬にして青ざめる。


「はっ!昨夜第2第3機械化騎兵師団からM4シャーマン戦車計20両盗まれている事が発覚いたしました。さらに第1砲兵師団からは155㎜りゅう弾砲12門も盗まれてしまっているようです。」

「というより何故いま昨夜の情報を伝えて来た?」


 本来であれば発覚後すぐに報告される事が、夜が明けそれも昼を過ぎた今報告されたという至極全うな疑問をガルドは投げた。


「ガルド閣下には正確な情報を伝える方が良いだろうという事で第1機械化騎兵師団師団長から止められておりまして」

「そうか、ならよい、それよりあんなにでかい物を一体どうやって盗んだというのだ……」


 ガルド中将の言う通りM4シャーマン戦車であっても30tもあるのでそう簡単には動かせないはずだ。

 しかし、何者かはそういったものをいとも簡単に盗み出していたのだ。


「残っていた魔力残滓等から簡易的なテレポーテーション魔法を使ったか、そうでなくとも浮遊系の魔法を使ったとされています」

「帝国軍の仕業か?」

「はっ!閣下のおっしゃる通り、これは検出された魔力残滓を精査した結果、帝国軍による犯行だと断定されました」

「やはりそうか……、この大失態を王女殿下と女王陛下に何とお伝えすべきか……。しかもこれは軍の問題ではなく、コンダート王国との外交問題にも発展しかねんぞ」


 コンダート王国から供与してもらった戦車と榴弾砲が杜撰な管理のせいで帝国軍に盗まれたとなると、ガルド中将の首一つでは済まされない大ごとだ。

 下手をすればエンペリア王国陸軍が信用ならないとして供与どころか部品等の供給も止められ、最悪進駐してきている王国軍全てが撤退してしまう。

 そうなれば近現代化前に逆戻りしてしまい、弱くなったところを帝国軍に再び押し返されてしまう。


「ともかくこれはすぐに王女殿下にお伝えせねば。おい、すぐに王女殿下の指揮所へ向かうぞ、第2第3機械化騎兵師団師団長と幕僚を緊急招集しろ」

「了解!」



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