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427.アレクシドロ最終決戦5

 

 第一大隊が撤退してから数十分後。

 第二第三大隊に向けて再び敵の攻撃が開始された。


「5RHQ!5RHQ!こちら53BHQ!敵の激しい攻勢が再開され、我が大隊と第二大隊が押され始めています!我らが瓦解する前に至急増援を!」


 敵は再び人ではない何かを大量に投入してきたため、被害拡大を恐れた第三大隊長は最悪の事態を避ける為、連隊本部に増援要請を送っていた。


『53BHQ、現在再編成が終わった第一大隊をそちらに向かわせた。もう少し耐えてくれ』

「53BHQ、了解。重迫撃砲中隊による火力支援を求めます」

『5RHQ、了解。座標を送れ』

「座標はN43、E21、350。N41、E31、650。」

『5RHQ、了解。しばし待て』




 連隊本部にて再編成と補給を済ませた第一大隊は間を置かずすぐに前線へと戻っていった。


「大隊長、この再編された部隊で戦う事ができると思いますか?」


 再編成に伴って、第一大隊には通信と衛生部隊を抜いた連隊本部中隊が補充部隊として追加されてきた。

 第一中隊長は追加されてきた部隊がこれまで前線での戦闘を一切経験していない為、実際に戦闘で役に立つのかと不安なのだ。


「君が言う通り、その点については不安ではある、しかし、それを言ってしまえば新兵が入って来た時も同じ状況になる。その点銃は当然扱えるし、部隊訓練はしているだろうから、そう考えれば新兵よりよっぽどましだ。しかも、君らのような士官もいるし冒険者上がりのベテラン下士官たちだっている。何とかなるだろう」

「……、ええそうですね」



 第一大隊は前線に到着するとすぐに第二第三大隊が請け負ってくれていた地区を引き継いだ。

 引き継いだ場所は広場になっており、完全に身を隠せる場所は広場周辺にある倒壊した建物しかない。

 ここの地区を監視していた隊員曰く「広場の中心にでてしまうとすぐに狙撃される」そうだ。

 不幸にもその狙撃を受けてしまった隊員2名が遺体となって広場の中心付近に倒れている。



 一先ず広場の一角にあった、かろうじて一階部分の屋根の残っている建物に第一大隊の指揮所を設置した。


 指揮するために必要なものがある程度そろうと、早速大隊長と各中隊長と補佐官たちは地図を広げた小さな机を取り囲み、作戦会議を行っていた。


「とにかく、ここの地点にいる彼らを回収してあげないとな」

「そうですね、早速……っ!」


 パリンッ!

 ガンッ!ドサッ


 指揮所にしていた建物の窓が割れた音がすると、第一中隊長は机に顔面を机に強打させたあとそのまま仰向けに倒れた。


「おいっ!大丈夫か!グッ……!ウッ」


 倒れた第一中隊長の正面にいた大隊長は彼の容態を確認する為近づこうとした瞬間、喉元から大量に出血しはじめそのまま膝から崩れ落ちた。


「頭に穴が開いている、これは狙撃だ!伏せろ!」

「衛生兵!衛生兵!」


 第一中隊長の眉間より少し上に貫通銃創のような傷があった事から、敵からの狙撃を受けたと判断し、残っている各中隊長と補佐官たちは身を隠すかその場に伏せた。


「クソッ!これではだめだ」


 すぐに軍医が駆け付けたが、その時には既に大隊長は首の傷口を両手で抑えたままこと切れていた。


「第一大隊長と第一中隊長戦死!」

「指揮は誰が?」

「大隊の指揮は副大隊長の俺が引き受ける!第一中隊は副中隊長が指揮を執れ!それと戦死した二人を後方に運び出せ!」

「「「了解」」」

「敵襲!敵襲!敵がこちらに突撃してきます!」


 その狙撃から間もなく、敵は城の方から第一大隊だけでなく他の大隊に向けて一斉に突撃を開始した。

 先程と同様、人ではない何かも向かってきていたが、今回はそれに加えてフルプレートアーマーを装備した重装歩兵も含まれており、その重装歩兵のアーマーは一般海兵隊員が装備するHK416の5.56㎜弾であれば弾くほどの頑丈さを持っていた。


 その後敵の勢いに押され再び各大隊に死傷者が多発しはじめ、ものの十数分後には第5海兵連隊の3割以上に損害が出てしまっていた。

 全滅判定を受けてしまった第5海兵連隊は、市街地の住民捜索を終えたばかりの第51海兵連隊に援軍を要請。

 要請後すぐに加勢した為、それを見て敵はすぐに撤退し、膠着状態に入った。


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