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421.アレクシドロ市街地戦5

 

 食堂はエントランスとは別の部屋になっており、こちらは大きな木製の観音扉になっていた。


「中の様子はどうだ?」


 分隊長は再び中の様子を確認する為、隊員にファイバースコープで覗かせる。


「中に人影がみえます」


 端末には厨房方向からこちらを見る人が写っていた。


「それは敵か?罠はあるか?」

「武器を持っている様子は見られません、罠は無いようです」

「もしかしたら住民かもしれない、扉は何で固定されている?」

「閂で閉められています」

「ならバッテリング・ラムで行こう」

「了解」


 バッテリング・ラム(破城槌)というのは取手が二つ付いた10㎏以上もある黒い筒状のもので、これを扉や門に質量のあるラム本体を勢いよく衝突させた際に生じるエネルギーをもって、強制的に開けるエントリー・ツールのことだ。

 そのバッテリング・ラムを勢いよく何度も扉にぶつけると、木が折れる音と共に観音開きの扉が勢いよく開く。


 開いた瞬間、中にいる人が敵の可能性があることを考慮して後ろからフラッシュバンを投げ込む。


「動くな!コンダート王国海兵隊だ!」

「大人しく投降しろ!」


 フラッシュバンの爆発音が鳴り終わったと同時に分隊員たちは銃を構え一気に部屋の中に流れ込んでいく。


「動くな!手を挙げろ!」

「こ、殺さないでくれ!」

「我々はコンダート王国海兵隊だ!大人しく投降しろ!」


 食堂の厨房にいた男性に向かって分隊員たちは銃を突きつけ、投降を促す。

 よく見れば男性の近くには女性もいる。


「私たちは兵士じゃないんだ!助けてくれ!」

「殺しはしない!手を挙げてこちらにゆっくり来るんだ!」

「わ、わかった」


 中年男性と女性、さらに片腕を怪我している初老の男が出て来た。

 彼らは素直にこちらの指示に従っていることから、一先ず襲ってこないだろうと隊員たちは判断した。


「ここにいるのはあなたたちだけか?」

「いえ、この地下に子供たちと私の両親が隠れています」

「そうか、安心してくれ我々はあなた方を助けに来ただけだ、その人達をここに呼んできてくれないか?」

「は、はい、今すぐ呼んできます」


 男の方が奥にある地下室から女の子が5人と老夫婦をつれて出て来た。

 聞けばこの人たちは、誰もいなくなったこの宿にいれば衣食住は何とか確保できると思い、ここに避難してきたのだという。

 最初はおびえていた彼らだったが、王国軍兵士が襲ってこないと分かると、一変少し安心した表情をしていた。


「51BHQ、10人の住民を保護、直ちに移送します」

 『51BHQ、了解』

「さぁ、安全なところへ行こう」


 分隊長は第51海兵連隊本部に報告を入れると、直ちにこの家族を後方にある第51海兵連隊と第5海兵連隊合同指揮所付近に立てた保護住民用テントに避難させた。


 その後は順調に制圧した地域から住民を救出する事に成功し、その数1400名にも上った。



 救助された住民によると敵(王国)が攻めてくるときに毒を撒くかもしれないからその予防薬だとして白いハッピーパウダーを飲むようにと帝国兵に渡されていたようで。

 さらに救出された薬を飲んだものの奇跡的に自我の残っていた住民から聞いた話によると、既に王国軍が一週間以内には海側から上陸してくるかもしれないし、さらに内陸からも侵攻してきている。最終的な避難先である帝都ディシアも王国軍による攻撃を受けているのでそこにも行くことが出来ない、だから今はどこにも逃げる場所がないとアレクシドロの守備兵に言われていたので、仕方がなく飲んだのだという。


 それを飲んだ住民達のほとんどはすぐにゾンビのようにうめき声をあげ、胸を押さえながら苦しみはじめ、その後何かを求めるように徘徊するようになったようだ。

 一部は体の一部が変異していたが自我を保っていたり、そもそも怪しいと思って飲まない住民もいた。



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