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418.アレクシドロ市街地戦2

 

 作戦を開始させた第5海兵連隊第一、第二、第三大隊は担当する町の入口に着くと、連隊長の合図で一斉に攻撃を始めた。


「攻撃開始!」


 合図を受けた各大隊は、門にいる帝国兵に向けて機関銃や無反動砲等といった個人携帯火器をフル活用して集中的に攻撃する。

 当然その攻撃を受けた門の帝国兵は抵抗する間もなく、あっという間に全滅した。


 各大隊は門の制圧が終るとその勢いで、一気に城下町へと侵入していった。




 城の北側の門から侵入し始めた第一大隊は、その不気味な光景に恐怖を覚えていた。


 門をくぐり抜けた先には、住民達が棍棒や包丁といった武器を持ちこちらを待ち構えていた。

 帝国軍はこれまでの戦いから王国軍は住民や非武装の人間に対しては無闇に攻撃してこないだろうという事がわかっていたので、それを利用して王国軍の判断を鈍らせようという事なのだろう。


「隊長!あの人達は攻撃する意思をこちらに見せているようです、攻撃してよろしいでしょうか?」

「いや、一度武器を捨ててこちらに投降するように呼び掛けるんだ。もしかしたら兵士に脅されて仕方がなく参加している人もいるかもしれん」


 帝国軍の予想していた通り、海兵隊はすぐに攻撃をせず目の前にいる住民に対して投降を促した。


「我々はコンダート王国海兵隊だ!住民の方々には無闇に攻撃しない、武器を捨てて投降しなさい!」


 隊員は拡声器を使い目の前から動かない住民達に向けて投降を促すが、情報通り住民の様子がおかしく、全く反応しない。


 その後数回投降を呼びかけたが、結局住民達は一切こちらに反応することはなかった。


「隊長、住民達はこちらに投降する意思を見せません、ここは攻撃開始しましょう」

「ああ、そうだな攻撃開始!」


 隊長は完全に住民側に攻撃の意思がないと判断し、攻撃命令を発した。

 しかし、その瞬間、こちらに到底人間とは思えない速度で迫ってきた。


 同時に隊員たちも一斉に射撃を開始し、先頭にいる武装した住民達を次々に倒していく。

 激しい銃撃を受けた住民達はこちらに来ることは叶わず倒れていく。


 パンッ!


 住民に向けての銃撃を行っている最中、突然どこからか銃声のような音が鳴ったかと思うと一人の隊員が倒れた。


「スナイパーだ!」

「メディック!メディック!」


 幸い頭を撃たれた隊員はヘルメットのおかげで、傷を負うことはなかった。


 さらに続けて矢が何本か飛んできて、負傷者が数名でてしまう。


「矢は抜くな!抜くと一気に傷口が広がって出血するぞ!」

「メディック!こっちもだ!」

「ひるむな!撃て!盾を構えろ!」


 住民に攻撃を集中させていたせいか、他への警戒が薄れ、隊員たちはどこかに隠れている帝国兵から攻撃を受けてしまう。

 しかし、元冒険者や兵士が多いこともあって大きな混乱はなくすぐに体勢を整え、銃撃や矢の攻撃から隊列を守る為に一列目は前方に、二列目は上斜め前に盾を構える。


 そのまま隊員たちは矢の攻撃から全員の身を守りながら住民や敵兵を排除しながら、徐々に前に進んでいった。




 町の第一防衛線を突破した第五海兵隊第一大隊所属の小隊は周辺地域に取り残されていない住民がいないか捜索を行っていた。その小隊所属の衛生兵はとある家の中でうずくまり苦しんでいる女性を発見していた。


「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」


 女性はこちらに気付き、顔を衛生兵に向けるがその眼は赤く光っていた。

 その目を見た衛生兵は一瞬ひるむが、まだ救いようがあると判断しその女性に近づく。


「殺……、シテ、あなた、逃ゲテ、ううぅ」


 その女性は症状が完全に出きらずに半分自我が残っているようで、必死に王国軍兵士達が自分に近づかないように訴えて来ていた。


「大丈夫だ!助けてあげるから、こっちに来るんだ」

「ううぅ、ダメ……、殺シテ!うがぁぁぁ!」


 しかし、その女性は自我を保ちきれず救助しようと近づいてきた衛生兵に襲かかった。


「うがぁぁ!」


 その衛生兵は女性と取っ組み合いになってしまう。


「やめろー!」


 パンッ!パンッ!


 衛生兵の叫びを聞いた他の兵が駆け付け、襲われている衛生兵を助けようとその女性を射殺した。


「クソッ!なんで殺したんだ!後もう少しで救えたのに!」


 救おうとしていた命が衛生兵の為とは言え、奪われてしまった事に怒りを覚え、救ってくれた兵に怒号を浴びせる。


「もう、よせ!あの人は無理だったんだ……。他に救える人もいるかもしれないんだ、行くぞ!」


 怒号を浴びせられながら、その場を離れようとしない衛生兵を駆け付け来てくれた兵は強引に引っ張り次の場所へと向かうのだった。



 


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←いつも読んで頂きありがとうございます。
拙作のスピンオフ作品です!(執筆者は別人)
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