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396.帝国の反撃

 

 森があった場所で部隊が奇襲攻撃を受け死傷者が多数出たという情報は、すぐにリレイに伝えられた。


「やはりそうか、ただ奇襲を受けるとは油断しすぎではないか?」

「おっしゃる通りです、しかし、帝国竜騎兵の攻撃は予期しておりませんでした」

「竜騎兵への対応は?」

「はっ!既にベル閣下が配下の第一戦闘ヘリコプター連隊を出撃させ、さらに空軍への応援要請をしたそうです」

「そうか、じゃあそちらは何とかなりそうだな」


「失礼します!」

「今度はなんだ」

「報告!ヤクトブルグ城塞都市から帝国兵が一斉に動き出し、第一~三機甲師団陣地に迫ってきております」


 どうやら森での奇襲を成功させ、王国軍を混乱させたと見た帝国南部防衛軍指揮官は本隊をヤクトブルグ城塞都市から一気に出撃させ、混乱しているであろう王国軍に向けて攻撃を仕掛けて来たようだ。


「さらに、上空には飛空艇や竜騎兵多数。加えて東側の平原からは帝国騎兵隊5千ほどがこちらに向けて一斉に進軍を開始しました」

「どうやらようやく敵は本気になったようだな、ここで一気にかたをつけるぞ!全軍攻撃開始!上空の敵に対しては動ける残りの空軍戦闘機を回すように要請してくれ」

「「了解!!」」



 帝国軍の思惑に反して、リレイはこうなる事を予期して待ち構えさせていた第一~三機甲師団に砲撃開始命令を下した。


「敵歩兵12時方向!騎兵3時の方向から一気にこちらに向かってきます!」

「リレイ閣下から攻撃開始命令も入りました!」

「良し!第一機甲師団各車、目標12時方向歩兵集団直上、弾種榴弾、一斉射!てっ!」


 既にある程度の照準をつけ、弾も装填してあった第一機甲師団のレオパルド2A6とPzh2000計736両が一斉に火を噴いた。

 一斉に発砲したことで、あたりは轟音と共に地響きが発生していた。


「命中!敵撃破を確認!撃ち方待て!」


 発射した700を超える砲弾は全て敵歩兵直上で炸裂し、突っ込んできた歩兵全てを吹き飛ばしていた。


「第一機甲師団が撃ったぞ、我々も続け。第二機甲師団各車、目標3時方向騎兵集団!弾種榴弾、一斉射!てっ!」


 第一機甲師団の一斉射したのに続き、第二機甲師団所属のM1A2SEPV3エイブラムスとM107A7パラディン計736両も一斉に射撃を開始していた。


「命中!目標さらに突っ込んでくる!次弾撃ち方用意!弾種そのまま、用意出来次第各個自由射撃!」


 第二機甲師団が放った砲弾は、敵騎兵隊の後方には命中したが、撃ち漏らした先頭集団がひるまずこちらに接近してきていた。

 一斉射撃後は自由射撃に切り替え、突っ込んでくる騎兵隊を撃ち始める。

 しかし、歩兵とは違って常に動き続け、40km/h近い速度を出しながら蛇行している為、なかなか当てる事が出来ずにいた。


「師団長!蛇行しながら近づいてきていて、なかなか撃破できません!」

「……接近してきたら、後退しつつ機関銃で撃って迎撃するんだ」

「了解!」


 最終的に帝国騎兵隊が200mのところまで接近してきた時に、搭載しているM2重機関銃で攻撃し、何とか全滅させた。


「目標の全滅を確認」

「引き続き警戒を怠るな、第二波が来るかもしれんぞ」


 第一・二機甲師団によって「あっ」という間に撃破していたが、この後も攻撃があるかもしれないと判断した各師団長は引き続きの警戒を命令していた。


 結果、本来であれば攻めて来た王国軍を森に釘付けにしている間に半包囲し、手薄になった背後から襲い掛かる手はずだった帝国軍はかえって大きな犠牲を払うことになってしまった。


 しかし、その夜、戦車と自走砲による猛烈な砲撃を受けたにもかかわらず、これにめげずに帝国軍側は先に攻撃した部隊と同時に進軍させていた歩兵部隊を進軍させ、朝日昇る前の薄暗い時間を狙って一斉に王国陣地に向け突撃を敢行。


 これに対して王国軍は暗視装置をフル活用して素早く反応し、陣地に配備していた機関銃や迫撃砲、設置型のミニガンで迎え撃った。

 当然、暗視装置を持っているはずの無い帝国兵はあっけなく多数の死傷者を出してしまう。

 それでも帝国軍はめげずに、味方の屍を越え、数に任せて突撃を続行。

 そのうちの少数が陣地内への侵入を成功させ、陣地内で王国兵と白兵戦が発生。

 帝国兵の必死の形相にビビった王国兵は少し浮足立ってしまい、王国側にも死傷者が出始める。


 しかし、ほぼ無謀な突撃によってほとんどの帝国兵は死傷し、何とか平静を取り戻した陣地を守っていた王国兵達の猛烈な反撃によって、突撃してきた帝国兵はついに消滅していた。


 そして、森の丘で奇襲を受けていた海兵第五旅団は、応援にやって来た第41・42装甲化歩兵連隊と第一戦闘ヘリコプター連隊によって奇襲してきた帝国部隊を撃破することに成功。

 上空から攻めて来た帝国空軍部隊に対しては、要請を聞きつけすぐに飛んできてくれたハミルトン統合基地所属機全機とメルセナス空軍基地所属機全機によって殲滅していた。


 こうして、帝国軍による大規模攻勢に幕を閉じた。


 しかしこの戦いにおいて、王国軍も少なくない犠牲が出てしまい、これまでの戦いとの累計で死者3600名、負傷者5600名に上った。



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