395.サーチアンドデストロイ2
森があった場所は、先ほどの激しい砲爆撃によって黒焦げになった地面があらわになっており、吹き飛ばされた木の幹がそこら中に転がっていた。
焼け野原となった場所は一面焦げ臭いにおいで充満しており、一部ではナパーム弾によって引き起こされた火災が消えずに残っている場所もあった。
そして2つの部隊がさらに進むと、帝国軍のいくつかのトンネルに貫通爆弾が命中したのか、とある場所には帝国兵の死体や武器がバラバラになった状態で見つかった。
「ようやく効果が見られたみたいね、でもまだ敵は残っているはずよ、くまなく探させなさい」
「了解!」
その状態の報告を受けたベルは内心ホッとしながらも、まだどこかに潜んでいるであろう帝国兵の追加捜索を命じていた。
この時両部隊を指揮していた指揮官たちは、もう帝国兵は潜んでいないだろうと気を抜いていた。
しかし、そんな油断している時、突然それはやって来た。
「敵襲!敵襲です!」
「何が起きた!」
「帝国兵の奇襲です!」
「それはわかったわ、どうなっているの?」
「ヤクトブルグ城塞都市側に展開していた海兵第五旅団が帝国空軍による攻撃と帝国魔法兵の攻撃を受けています!死傷者多数!」
どうやら帝国軍は王国軍が自分たちにとって有利に動ける場所にくるまでじっと耐え続けていたようだ。
そして、ついにその場所までひきつけられた海兵第五旅団の一角に対して一斉に帝国軍は攻勢を仕掛けて来ていた。
海兵第五旅団が攻撃を受けた場所は小高い丘の上からで、帝国兵は地の利を生かしてほぼ一方的に攻撃をしてきていた。
そんな地理的に不利な状態に加えて海兵第五旅団は一気に地下から出て来た帝国兵によって半包囲されてしまい、さらに上空からは40騎を越える帝国竜騎兵隊からも攻撃を受けていた。
奇襲を受けた海兵第五旅団は突然のことに混乱し、一瞬にして海兵隊員100名ほどが死傷し、散発的に抵抗するのが精一杯の状態にまで陥っていた。
「クソッ!やられたか!すぐに空軍に支援要請を!それと至急第41装甲化歩兵連隊と第42装甲化歩兵連隊を彼等の応援に向かわせなさい」
「了解!」
ベルは近衛第4師団配下の89式装甲戦闘車を装備した第41・42装甲化歩兵連隊を増援に向かわせた。
89式装甲戦闘車であれば、限定的な対空射撃も可能で素早く現場に到達できるだろうと判断したからだ。
その命令を発したベルは、指揮所のテントに響き渡る声で他の部隊長を自分の元に呼び寄せる。
「第一戦闘ヘリコプター連隊連隊長!」
「はっ、ベル閣下お呼びですか」
「あの、帝国竜騎兵隊をあなたの部隊で堕とせる?」
「はっ!もちろんでございます、我々が陛下のご期待に応えて見せましょう」
「じゃあ、頼んだわ」
「では」
ベルが呼び寄せた第一戦闘ヘリコプター連隊連隊長はその名の通り、戦闘ヘリを指揮運用する部隊で、此の部隊にはAH-64Eアパッチガーディアンが配備されていた。
彼等ならば、空軍が到着するまでの間、竜騎兵隊の足止めだけでなく何機か撃ち落とすことが出来るだろうとベルは踏んでいた。




