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379.冒険者ギルドの解体と民間軍事会社新設

 

「何と!ギルドマスターであろう君がそんな事を言うのか!いったい何を考えているんだ!」


 エレザの話を聞いて、会長は怒りをあらわにしていた。


「今私が考えているのは、例えば、今所属している冒険者全員をそのままに、警備会社か民間軍事会社に改組して、民間防衛教育施設の運営、銃器管理、現金輸送護衛等といった業務を行う事に方向転換するといったことだ」


 要は、軍や法執行機関の現代化に合わせて、冒険者ギルドを警備会社か民間軍事会社に発展させようというものだ。


「実際にハミル商会に所属する冒険者は全て民間軍事会社に切り替えて活動して実績もあるから、何ら不自然じゃないだろう?」


 既にハミル・アーミーという企業名で、現代兵器で武装した社員によるモンスター撃退の依頼やエンペリア王国国内で軍事技術指導といった軍事業務も請け負っており、さらにその傍ら現金輸送護衛や商業施設、個人警護といった警備業務も請け負っている。

 さらにハミル・アーミーの関連企業は国王陛下が召喚した兵器をいち早く取り入れ、ライセンス生産のようなこともしている。


「しかし!それではこれまで守り続けてきたものが何もかも無くなってしまうではないか!」


「しかしもクソもあるか!時代の流れに合わせず喚くのは見苦しいぞ、そんなことを言っているようでは取り残されるどころか、人々から忘れ去られ見向きもされなくなってしまう。確かに冒険者がいていいことはまだあるし、彼らの経験が生きている場所や必要とされているところはまだある。だからといってそれをいいことに「昔はこうだ」とか「冒険者ギルドはまだ必要だ」、「伝統を守りたい」だの言ってるのはもはや害悪でしかない。すぐにやめろ。さもなくばすぐにでもつぶすぞ?」


「貴様!恩を忘れたか!」


 エレザのその言葉にベレスティア会長は激昂し、議事堂に響き渡る声で叫ぶ。


「うるさい!いい加減現実をみろ!この老害!」

「言わせておけばこのガキが!老害とはなんだ!老害とは!」

「そのままの意味だ!」


 売り言葉に買い言葉で、お互いに罵詈雑言をぶつけ合う。


「静粛に!後言葉に気を付けなさい!」


 議長はヒートアップしてしまった二人を嗜める。

 議長の言葉に口を閉じた二人であったが、不満顔ままお互い睨みあったままだ。


「一先ずこの案は、昨今の情勢を鑑みてアーノルディア参考人意見を追加修正したいと思いますが、どなたか意見はありますでしょうか?また異議があるものは挙手をお願いいたします」


 話がこのままではまとまらないと判断した、議長はエレザの意見と昨今の現代化といった国内情勢から、原案を大幅に追加修正の上、下院での再審議とすることを提案した。


 議長の提案を聞いた上院議員たちは、しばらく内輪で意見交換しあった。


「皆さま、意見はまとまりましたでしょうか?」


 それからまたしばらく時間が経つと、頃合いをみて議長がまとめに入る。

 議長の問いに上院議員達は沈黙で答えた。


「何もないようなので、この法案を先ほどの私の提案通り、追加修正のうえ、下院に返付し再審議といたします」



 後日、この案は冒険者ギルドと冒険者ギルド管理協会を解体し、そのまま民間軍事会社へ改組することになり、下院で再可決された。


 そして、新たに設立された民間軍事会社はエレザを社長に就任させ、彼女の苗字を取って“アーノルディア・ディフェンス”という社名が採用された。

 アーノルディア・ディフェンスは経営が軌道に乗るまでの間は、国営企業として経営する事になり、当然経営資金は全て国から拠出される。


 業務内容は既にあるハミル・アーミーと同じ業務を行うと共に、差別化を図るべく、主に民間防衛指導という業務を追加する。


 これは比較的広い国土を有するコンダート王国の国民が、討伐しきれていない若しくは突発的に発生するモンスターが現れた時、軍や法執行機関等が到着する前までの間自らの力で出来るだけ対処できるようにする為に教育又は援助するというものである。


 その教育施設はこれまで冒険者ギルドが初心者や中高生ぐらいの年齢の生徒の教育に使っていた施設をそのまま民間防衛教育施設に転用することになった。


 民間防衛教育施設は中等部、高等部、一般教育部と三つに別けられる。

 まず中等部と高等部は中学校や高校と同じように一般教育を行いつつ、それに加えて銃器や各種兵器で対モンスター戦闘を個人または集団で行えるように教育する施設となっており(陸軍にある兵学校(中高)とは違い対人戦闘を想定していない)、一般教育部とは徴兵の任期を終えて且つ対モンスター戦闘に関わってこなかった国民に対して希望があったものに対して教育する施設になっている。


 使用銃器に関しては、軍や法執行機関と同じものを使う事によって、運用コストや戦闘時にお互いに融通できるようにする。これらも全て国からの資金で賄われる。


 また、これらを運用するにあたって、学生が銃器を以って暴走しない為に新たな法律を設ける方針だ。


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