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371.射撃訓練!

 

 迎賓館での会談が終わると、俺は後宮に戻り一休みして、地下にある射撃場に向かった。

 王となった今であっても、どんな状況に陥っても良いように繰り返しの訓練が必要なのだ。

 現に、呪われたようにそういった状況に出くわすのだからなおさらだ。本当に恐ろしいぐらいに。



(ああ、やっぱり俺って巻き込まれ体質なのかなぁ?出雲国にお祓いがあったらしてもらえばよかった……)


 重い防弾扉を開けると、そこは前来た時と様子が少し変わっていて、射撃レーンの後ろ部分が広げられ、動きながらの射撃が可能なようになっていた。

 これは、俺が以前に地下でバリケードを使った室内戦闘訓練ができるぐらいにしておいてくれと頼んでおいたからだ。


 この射撃スペースは横に50m奥行が100mあり、そのままの状態であればマンターゲットを置き左右に動きながらの射撃などが出来、スペースの端っこにまとめて保管してあるバリケードを動かして設置すれば、簡易的なCQB戦闘エリアとして使うことが出来るようになる。



 射撃場に入った俺は、一先ず銃と弾をとる為、併設されている武器庫へとむかう。


 そこからVP9とMP7、それとGlock18Cにフレームコンバージョンキット(FLUX BRACE)を付けたものを選び、射撃レーンに持っていく。


 このGlock18Cに装着したFLUX BRACEというのはグリップの後部上方基部に収納されているストックと似たような形をしたスタビライジング・ブレース(片手保持用補助装具)をばねの力で素早く展開し、それをストックのように肩付けして(本来の使い方ではないがそういった使い方も出来てしまう)射撃の安定性を図るとともに、展開したスタビライジング・ブレースを収納しコンパクトにする事が出来る。


 さらに本体のGlock18Cはフルオート射撃も可能なハンドガンなので、これを装着することによってハンドガンとほぼ変わらない大きさにもかかわらず、サブマシンガン等と同じような制圧力を有することが出来る。非常に優れたものだ。


 但し、注意点として、ブレースが展開される時、圧縮されたバネが解放される為ものすごい勢いで展開されるので、顔や腕等に当たると痛い目にあう。運悪く胸に当たればまるで心臓マッサージされているかのようになる。


 この様に近距離戦闘重視の射撃訓練をするのは、自身が国王という立場に置かれている以上ほとんど、遠距離戦闘をすることがないと感じたからだ。さらに、最近の戦闘でも至近距離での戦闘が多かったのもそうする大きな理由の一つだ。


 とはいえ、そういった状況が多いというだけで、中遠距離戦闘に出くわす可能性も残念ながら否定できないので、ライフル等の訓練もするが。


 銃と弾を用意した俺は、イヤマフと手袋、アイプロテクターを装着し射撃レーンに立つ。


 訓練はまず5mと10mの距離にあるマンターゲット向かっての静止射撃を行い、そのあとに後ろにある広い射撃スペースの方に入り左右前後に静止した的に向かって自分が動きながらの射撃。さらに左右に動く的に向かって静止した状態と動いた状態での射撃を行った。

 この時にファストドロウやエマージェンシーリロード、クイックリロードを動いた状態や、的が超至近距離にある状態でのホルスタからドロウして撃つといった事も練習した。


 これらは全て元居た世界で読み漁った本や動画等で得た知識をやってみているのだが、如何せん素人に毛が生えた程度の俺にとってはそういった人たちのようにはいかない。

 中でも、ファストドロウからの初弾が良く外れるので、訓練の後半はほとんどその練習に費やした。


 (こういった機会があるなら、出来たらああいった人のようになりたい!)


 そう心に誓いながら、俺は数時間この射撃場で練習をひたすら繰り返していた。


 それから数時間後。


 バリケードの設置も終え休憩を取っていると、そんな俺のところにエレオノーラとレナ達とメリア、ローザ、ステラがやって来ていた。


 彼女達がここに来たのはこれから、俺と実戦形式の射撃訓練をするためだ。

 特にメリアやローザは銃を使用する頻度が極端に低いので、ある程度慣れてもらうためという理由で呼んでいる。

 今日は呼ばなかったが、今後千代姫達出雲組のみんなにもこういった訓練に参加してもらうつもりだ。



「ご主人様、お疲れ様です!」

「ああ、ありがとう」


 エレオノーラは俺にスポーツドリンク的なものが入った大き目の水筒を手渡してくれた。

 喉が渇いていた、俺はそれを受け取るなり、一気に飲み干す。


「ぷはっ!うまい!」

「うふふ、お疲れ様。この後訓練するって言ってたけど、もう少し休んでからやる?」


 かなり汗をかき、少々息の上がっている俺を見たメリアは、気遣って優しい声を掛けてくれた。


「ううん、大丈夫、まだやれるよ。ありがとう」

「そう?それならいいけど?」

「きっと、ワタなら大丈夫よ!というか、早くやりましょ!」

「ローザったらもう!」


 そういってローザは、既にレナとステラが向かった武器庫へと走っていってしまった。

 ローザはとにかく早く体が動かしたくてしょうがないようだ。

 メリアも呆れつつも、そのままローザの後ろについていく。



「ご主人様、本当によろしいのですか?迎賓館で会談を終えてからずっとここで射撃訓練してましたよね?しかもバリケードの設営もおひとりでこなされていたのですよね?」

「エレオノーラ、気遣ってくれてありがとう。大丈夫、全部楽しんでやってたことだから」

「そう……、ですか」


 会議の後からすぐに射撃場にきて、それからずっと動きっぱなしなので、心配されて当然だろう。

 確かに、疲れていないと言えば嘘になる。

 ただ、俺にとって銃の射撃訓練は本当に楽しんでやっているので、その辺まったく問題ない。


(サバゲーやってるときも、こんな感じだったなぁ)


「とりあえず、準備してきなよ、その間少し休んでるから」

「はい!」


 メリア達の準備が整った事を確認した俺は、休んでいたベンチからゆっくりと立ち上がり、すぐにCQBエリアへと向かった。


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