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368.シエスタ王女

 

 厳重な警備の中、迎賓館のとある一室へとメリアとローザ、エレオノーラと共に向かった。

 部屋の前までくると、そこにはサクラとミントが部下と共に警備を行っていた。

 俺達を見たサクラとミント含め部下達は一斉に敬礼をする。


 「やぁ、サクラ、ミント、久しぶりだね!元気にしてたかい?」

 「陛下!お久しぶりです!」

 「いつ頃ぶりでしょうか」


 近衛軍団の重要幹部である二人とは、国内に残る魔物の討伐の指揮や書類仕事と忙しい日々を送っている為、中々会う機会がなかったが、今回の近衛軍団総出での警備に駆り出された事によって、こうやって久しぶりに会う事が出来た。


 その場で、二人と軽く話すと俺達は部屋へと入る。


 部屋に入ると、シエスタ王女は女性従者達4名に囲まれた状態で出された紅茶とスコーンを食べて待っていた。

 周辺には来賓対応部隊である、ローレライの隊員たちが周囲を取り囲んでいた。

 その様子はおもてなしというより、監視といった言葉が合う物々しい状況になっている。



 外の警備は何となくわかるが、部屋の中までここまで厳重になっていることには流石に俺は驚いていた。

 ここまで2重3重に警備体制が敷かれているのは、王国側としては旧中央諸国連合の使者たちは帝国の一員として来ているという認識なので、もしかしたら、帝国が使者という名目で実はスパイを送り込んできたという状況も否定はできないと判断されたからだ。

 要は、妙な動きをしようものならいつでも袋叩きにするぞ、という事だ。


 裏の事情はともかく、武力ではなく話し合いをしようとしてこの場に来ているのだから、やりすぎだとは思うが。





「シエスタ王女、久しぶり」

「ああ、ローザ王女、久しいな」


 部屋に入ってローザはシエスタ王女に近寄り、握手を交わす。

 その時ローザは久々に会った知り合いにあえてうれしいとばかりに明るい表情をしていたが、対するシエスタ王女はあまり表情を変えず、少々低めな声で挨拶を返していた。


 そのあまりにも淡泊な反応にローザはシエスタ王女から離れていたあとに、ずっと首を捻っていた。

 俺もローザから聞いていた話から少々違った印象を受けたので、多分そういったことでローザは違和感を感じていたのだろう。

 そもそも、久しぶりに会ったのにあんまり嬉しそうじゃない反応を返されたら、そうなるのも不思議ではないが。


 (多分、彼女はいわゆるクール系女子なんだろうなぁ)


 俺は彼女を一目見てそう感じていた。


 シエスタ王女の見た目は少しウェーブのかかった水色の髪色のショートボブで顔も細く整っており、目は綺麗な青色をしている。

 彼女は髪や目の色に合わせるようにして、明るい水色のドレスを着ており、上半身部分は少しタイトなつくりになっている為、小ぶりな胸と細くスラリとしたお腹周りの特徴が見て取れる。

 さらに彼女の首元には細い銀色の首輪が付けられていた。


 そんな彼女の細い腰には目立つように、柄と鞘に赤い装飾が施された黒い短剣をつけていた。

 最低限の護身用として付けているのだろう。


 そんな彼女の後ろに控えている、女性の従者のうち二人は背中に大きな両刃の剣を担ぎ、顔以外プルプレートメイルを着用していて。残る二人は帯刀こそしているものの、メイドのような恰好をしている事から戦闘が主な任務ではないようで、両手には書類を詰めたカバンのようなものを持っていた。


 さらに、彼女達の近くには黒い軍服姿の人物が数名といかにも貴族然とした男性一人を伴っていた。

 その貴族のような出で立ちの男性は、エイザ軍務卿という人物のようで、俺達の国でいう国防総省長官といったところだろうか。


「初めまして、シエスタ王女。私がこの国の女王のメリアよ、そして隣にいるこの人がこの国の国王よ」


 俺が黙って様子を見てしまっていたので、先にメリアから挨拶をしていた。


「初めまして、シエスタ王女。少々物々しいが許してくれ」


 俺が挨拶し終わると同時に、座っていた椅子からゆっくりと立ち上がりこちらに深々と一礼してきた。

 彼女に合わせるようにして、後ろに控えていた面々も俺達に対して一礼をする。


「ご挨拶遅れて申し訳ございません。お初お目にかかります、私イミテア王国第一王女のシエスタと申します。コンダート王国両陛下とこのようにしてお会いできて光栄にございます。」


「大変な中良く来てくれたよ。とりあえず、疲れているだろうから楽にしていいよ」


「お気遣いいただきありがとうございます、では、お言葉に甘えて……」



 簡単な挨拶をすませた俺達は、彼女達の前に座った。

 座ると同時に後ろから静かにやって来た、エミリアが俺達に紅茶を出してくれた。


「両陛下、紅茶をお持ちしました」

「ありがとう、エミリア」

「では、失礼いたします」


 エミリアは紅茶を出すと一礼して、すぐに離れていった。


「早速ですが、イミテシア国王から書簡を預かっておりますので、お受け取り下さい」


 シエスタ王女は座るなり、俺に木箱に入った書簡を差し出される。


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