367.シエスタ王女、コンダート王国へ
「私もその案に賛成いたしますわ、お父様」
イミテシア国王の案に賛同の意を示したのは、イミテシア王国第一王女であるシエスタ王女だ。
彼女は武術や剣術等体を動かす事が得意でない分、学術や政治に関しては才があり。最近ではその才能を買われこういった会議等の政治の場に呼ばれることがある。
「おお!流石は我が自慢の娘だ、よくわかっておる。して、シエスタよ、その理由を聞いてよいか?」
「では、ご説明いたします」
シエスタ王女はコンダート王国のとある情報機関と接している事を諸侯に説明した。
それがまた諸侯らをどよめかせる。
「彼等からもたらされた情報によれば、彼のコンダート王国は国王のとある力によって帝国に対抗できる圧倒的な軍事力を手に入れており。この戦争下にあっても経済を発展させるほどの国力もあるそうです」
「なんと!強大な力を持った国が帝国の他にもあったというのか!」
「ええ、そうです。しかも驚くことに、コンダート王国も我らや周辺国家と同じように帝国からの侵攻を受け、一時国内の3分の1ほどを帝国に占領されたのにも関わらず、ある日その国王が“現れた”時から一気に形勢は逆転したそうで、今では王国国内から帝国軍を一掃しただけではなく、王国の周辺海域にいた帝国海軍の艦隊を全て消滅させたそうです」
「シエスタよ、それはさすがに、誇張された情報ではあるまいな?」
「ええ、これは間違いない情報です。それを裏付ける情報として、帝国軍にいる二人の兄から同様の情報を得ています」
「そうか、それなら間違いないな」
「さらに、妹からは「王国が帝都を爆撃した」という情報が上がってきています」
その言葉に、諸侯は皆一様に驚いていた。
「なんと!帝国軍を国内から追い出すだけでなく、首都をも攻撃したとおっしゃいますか!」
「ええ、ロゴンド大公。間違いございません。これは夢物語ではなく全て真実なのです」
「しかし、そこまでの力をどうやって……」
イミテシア国王は、これまで旧中央諸国連合が帝国軍と軍事力が拮抗させるのが限界だったというのに、こうも簡単に帝国に対抗できる力。否、むしろこれまでどの国も成せなかった“帝都爆撃”まで成し遂げてしまった王国がどうやってそこまでの力を得たのか理解できずにいた。
「お父様、それについても、よろしいでしょうか?」
「あ、ああ」
「ありがとうございます。彼の国の軍の現在主力になっている、恐ろしく長い射程を持つ黒い銃といったものや、動く鉄の箱、空飛ぶ鉄の箱等といったものが、簡単にあの強大な帝国を攻撃出来てしまうのだそうです。実際にその黒い銃を見る機会がありましたが、これまで我々が扱ってきた銃とは全く違う代物で、一発一発筒の先から込めて撃たず、ある一定数を連発して撃つことが出来るそうです」
「そうか。ではなおさら、コンダート王国に助けを求める方が良いという事だな」
「はい」
「では、そのコンダート王国に向かう使者をシエスタに託しても良いか?皆はどう思う?」
イミテシア国王はここまで王国の情報に精通し、さらに王国との繋がりがあり、頭も良いシエスタが使者として最適だと判断し、諸侯に了解を得ようとした。
「それで問題ないと、我は思うぞ」
「陛下のおっしゃる通り、シエスタ王女殿下が適任と思います」
そのほかの諸侯も、皆頷き同意を示していた。
「なら、決まりだな。頼んだぞシエスタよ」
「はい、お父様」
こうして、コンダート王国に向かう使者としてシエスタ王女が選ばれたのであった。
その日の夜。
イミテシア国王の執務室に呼び出されたシエスタ王女は、国王が書いたコンダート王国国王に向けての書簡を手渡されていた。
そして、イミテシア国王は誰にも聞こえないように、彼女の耳に囁いた。
「いいかシエスタよ、まずは王国へ支援を乞うのだ、その時にどんな条件を出されても全て飲むのだ」
「はい、お父様」
「次にお前はその国王の妻となるのだ。そしてその国王を油断させ、我ら中央諸国連合が帝国からの独立を果たしたその時。その国王を殺せ。そしてその国を奪うのだ、いいな?」
「はい、お父様お任せ下さい。彼の国の王は女性にものすごく弱いというので、簡単に懐柔できるかと」
「任せたぞ」
イミテシア国王は先程の会議ではそういった素振りを見せなかったが、彼はかなりの野心家で、この機を利用して、帝国のみならずコンダート王国を占領してしまおうと考えているようだ。
さらに、イミテシア国王は自身の娘を単に使者として送り込むのではなく、コンダート王国の国王を暗殺させその国自体を奪おうというのだ。
そして、彼女にはもしも実行できなかった時や裏切った時のために自爆術式が組み込まれた首輪を国王からつけられていた。
翌日
シエスタ王女の護衛として2人の腕利きの剣士と戦闘もこなせるメイド2名、さらにエイザ軍務卿やその他軍関係者等を伴いコンダート王国へ向かうことになった。
彼女達はシエスタ王女が小さい頃からつかえていたので、かなり信用できる。
そんな4人を連れてシエスタ王女は王国中央情報局局員のザックスと呼ばれる男と共にコンダート王国へと向かうのだった。




