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366.中央諸国連合の思い2


「現在、歩兵52,000名、騎兵2,300騎、魔術師320名、竜騎兵300騎が各地に分散して待機しております」


 旧中央諸国連合の諸侯たちは領域内に駐留する帝国軍に悟られることがないように、密かに軍を集めていたのだ。


「おお、この状況でよく集まってくれたな」

「ええ、歩兵に関しては残っている領民のほとんどが参加してくれたお陰もあります、さらに竜騎兵に関してはアルゴ王の配下を丸々提供してくださりました」


 アルゴ王は旧中央諸国連合の中で龍人族という唯一人族以外でありながら、他の諸侯たちと肩を並べる存在だ。

 彼は、旧中央諸国連合領域の北部にあるアルゴ高地と呼ばれる4500mを越える山岳地帯にすむ龍人達を取りまとめている。


 龍人族はドラゴンとトカゲの合いの子のような見た目をしているが、見た目に反して生活や言葉、性格等は人間と同じだ。

 そしてこの種族は3000年以上も生きる長寿として知られている。

 アルゴ王に至っては6700年以上も生きてきているという、まさに長老だ。


「我ら龍人族を保護してくれたこのご恩、ここで返させてもらおう」

「助かったぞ、アルゴ王」

「いや、これぐらい礼には及ばん」


「領域内と領域外いる帝国軍といざ戦闘をするとなると、やはり心もとないのは事実です」


 対する領域内に展開する帝国軍は歩兵約100,000名、竜騎兵2800騎、魔術師3400名と倍以上の兵力がある。さらに帝国軍は領域外にはなるがすぐ近くの町にこれのおよそ3倍の兵を常に待機させているので、戦闘にもしなれば5倍近い兵力と対峙しないといけない。



「しかし、この状態を放っておいては、完全に帝国に染まってしまい。我らもただの領民と成り果てるだろう。そうなる前に何とかしなければならない。しかし、残念ながら今の我々が団結して力を行使したところで、到底帝国にかなわんことがこれでわかった。そこで皆に、案を聞きたいのだが、何かないか?」


 取りまとめるのは旧中央諸国連合の中心的存在のイミテシア国王だ。

 彼は40歳と他の諸侯よりは若いながらも、父である先代王から引き継いだこの国と諸侯を持ち前の頭脳で率いている。

 そんな彼には妻と4人の子供がおり、そのうち第一王子と第二王子は帝国陸軍将校として仕えていて、第二王女は帝国で大きな力を持つハルト家の長男の元へ嫁いでいる。


 もし、旧中央諸国連合が帝国と戦うとなった時、二人の王子は帰国しともに戦う手筈になっている。


「ここは一度一番近いエンペリア王国に助けを乞うというのは如何でしょう?」


 エンペリア王国に助けを求める案を出したのは、実際に旧中央諸国連合の中でもエンペリア王国と最も近い位置にある地域を治めるテーザ公だ。

 彼は過去実際にエンペリア王国と交易をしていたので、エンペリア王国のことを良く知っているのだ。

 国力も高く、軍の練度も申し分ないエンペリア王国に助けを求めるのはある程度考えられていたことだ。


「しかし、テーザ公。彼のエンペリア王国も今も帝国に侵攻を受けていて、到底こちらを助けてくれるとは思えないのだが?」


 テーザ公の案を否定するのは、テーザ公国と接する領域を治めるシェシリア公だ。


「確かにシェシリア公の言う通り、たとえエンペリア王国に助けを求めたとて、断られるのは目に見えている」


「では、イスフェシア皇国かテレン聖教皇国に助けを乞うというのは」


 帝国北東部に位置するテレン聖教皇国とイスフェシア皇国という二か国に助けを求める案を出したのは、二か国と交易をして繋がりのあった旧中央諸国連合東部のロゴンド王だ。


「残念なことに彼等も今はもはや我々と同じく帝国にのみこまれていく運命だ、それは無理な話だろう」

「では、陛下はどうすれば良いと申すのですか?」


「残るは、コンダート王国しかないな」


 イミテシア国王のその案に、その場は一瞬どよめいた。


 それは彼等にとってコンダート王国とは、これまで国交はおろか交易すらしておらず何も情報のない未知の国家だからだ。


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