32.コンダート女王陛下
「ここまで連れて来ておいて、わたくしを放置とは罪深き人達ね!」
「じょっ、女王陛下!なぜこのようなところに!」
なんとその女性というのはこの国の女王であったらしい。
その証拠に周りにいた警備兵は土下座をする勢いで床に座り込む。
「この国の主がここに来て何かいけなくて?そもそも女性を放置とは本当に失礼だこと」
「大変失礼致しました、メリア様。この罪どのようにして償えばいいのやら」
「もういいわ、ここで働いてくれているだけでも十分だわ、不審者対応もしっかりしているようだし」
「ありがたきお言葉を頂き恐縮でございます」
終始警備兵と女王との間でのやり取りが続き、原因であった俺は完全に放置されていた。
「あの、俺はどうなるんですかね?なんか放置気味ですけど」
「お会いできて嬉しいわ、ワタ様!わたくしがこの国の女王にして貴方の召喚主のコンダート・メリアよ」
俺は召喚という言葉にかなり疑問を抱いてしまっていたが、一先ず窮地を救ってくれたことに礼を述べる。
「おっと、これは失礼しました女王様。こんな人間を救って頂いてありがとうございます」
「良いのよ、そもそも私が招いたんだもの……それとメリアで良いわよ“御主人様”」
ん?いつものことだが話が読めない……、最後になんか言われたような?
そう言って話しかけてくれるメリアは金色のロングヘアで、女性の象徴は目測でFぐらいはある。比較的長身な俺(約180cm)の目線に頭が来るほどの背丈である、また全体をみてもモデルのように引きしまった体をしている。
「失礼致しました、ワタ殿、客人だと知らずにこのような対応をしてしまいまして……」
「そういうときもありますから、お気になさらずに」
今まで強面の兵士達が一転して申し訳なさそうにこちらに頭を下げてくる。
「さて御主人様、私たちの居城まで案内いたしますわ、とその前にそろそろ来るとは思うのだけど?」
「どうかしたんですか」
そんな話をしていると事務所の扉がノックされる
「「「失礼します!」」」
中に入ってきたのは、これもまた女王様に勝るとも劣らない美女たちであった。ただ普通と違ったのは、皆鎧を着け剣を佩いていた事だ。
「待っていたわセレナ、サクラ、ミント、こんなところまで御苦労さま。この方が“あの”ワタ様よ、よろしく頼むわよ」
「よろしくお願いしま……」
俺が挨拶しようとすると、セレナと呼ばれた3人の中では上官?に位置するであろう赤毛ショートの美女が、挨拶も聞かず開口する。
「こんな優男が召喚者ですか?ハァ……致し方ないですね。まァ……せいぜい女王様に恥をかけないことだな!」
口を開らいたかと思えば、何に落胆したのか、一気に態度を急変させ、俺をまるでゴミを見るかのような目で見ながら、きつい言葉を吐く。
「こら!セレナ!そんなこと言わないの。失礼でしょう?」
「そうですよ団長、そこまで言わなくても……あの鏡で見ましたでしょう?この方の“実力”を」




