349.みんなと一緒に2
シルヴィアは俺の強引さには驚いていたが、席を思わぬことで手に入れることが出来たので、悔しそうにこちらを見るエレオノーラに嫌味をぶつけていた。
「そんなこと言うなら君も立ってていいよ?何ならここに他の子を座らせたっていいんだから」
そんな、シルヴィアにカチンときた俺は、怒気を孕んだ声でシルヴィアに警告する。
「し、失礼いたしました。ワタ殿」
「俺と一緒にいる以上仲よくしてもらわないと困るんだけど?それこそここにいる皆に迷惑かけてるってわかってる?というかそんなこと毎回毎回されたらそれこそ迷惑なんだけど?」
丁度いいタイミングと思った俺は、この後も同じことが起こらないようにという思いで、二人を詰める。
「しかも、リレイみたいに元帝国軍人だった彼女は過去のことにけじめをつけて、ここにいる皆と仲良くしてるんだから、種族間の争い事はやめてもらっていい?」
「「申し訳ございません……」」
それを聞いた二人は反省の色をみせていた。
「……ワタ、そこまでにしてあげたら?」
メリアの声にハッとなり、周りを見るとみんな驚いていた。
俺はあまり怒るところを見せないので、皆のその反応は当然だろう。
「ご、ごめん……。空気が悪くなっちゃったけどご飯を食べようか!乾杯!」
「「「「乾杯!!」」」」
俺の乾杯の合図と共に、皆一斉に各々の席に食前酒として用意されていたビールのジョッキで乾杯した。
そのあと入口付近の長い台にバイキング形式で用意されている料理を取りに行った。
そこには和洋中といろいろな料理が並び、デザートやスープ、味噌汁も用意されていた。
皆は各自渡されたプレートに好きな食事を取り分けていた。
ただ、一人だけ並んでいる料理に不満を持っている人物がいて、その人物はご飯の周辺をうろついていた。
「ミサ、何を探してるんだい?」
その人物とはミサのことだった。
恐らく。いや、間違いなくカレーのルーを探しているんだろう。
俺が声を掛けると、凄まじい速さでこちらを見る。
「ッ!」
「いや、ない。というより、駄目!」
ミサが何かを言う前に俺は、それが何かを即座に理解し、そして否定していた。
「カレー……」
「そんなに、悲しい顔をしないでよ」
「カレー!」
「いや、出さないからね?」
「カレー……」
「カレーしか言えないの?」
もう彼女はカレー無しでは生きていけない体になってしまったようだ。
終いには会話も終始「カレー」しか言わない始末。
「はぁ……、ミサ!ここは船の上じゃないぞ!ましてや今日は金曜日でもないんだからあきらめろ!」
「カレーーーー!」
その様子を見かねたヴィアラがミサに注意するが、聞く耳を持たない。
(上官に対してもカレーしか言わない!だと!)
もはや、ここまでくると笑うしかない。
ヴィアラもミサから変な返事が返ってきて、怒るどころか爆笑していた。
「じゃあ、わかった。今から用意、してもらおう。ただし……」
「ただし?」
「これから出して食べたら、これ以降、一切カレーを食べないことを誓えるか?」
「う、ぐ……、わかりました」
「よろしい」
俺の提案でようやくミサは諦めてくれた。
彼女にとってカレーがない人生はあり得ないようだ。
聞くところによれば、ミサは基地にいる時には5㎏のカレーを毎晩のように食べているようだ。
しかし、それでもミサの完璧なプロポーションは変わることがない。もはや化け物だ。
そんなこともあって、ミサのカレー好きは海軍内で知らないものはいないぐらいだ。




