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346.潜水空母

 

 統合戦艦の報告の次に潜水空母についての報告だ。


「まず、この潜水空母の運用方法ですが、この潜水空母と共に通常の潜水艦4隻で構成された潜水空母機動艦隊を編成します。この潜水空母機動艦隊は敵湾港に対しての夜間奇襲作戦主な任務とし、それ以外は通常の空母機動艦隊との共同作戦等に従事することになっております」


 この潜水空母はその特性を生かして、警戒が最も緩む夜間に敵湾港施設へ海中から忍び寄り、艦載機での爆撃を行うのを任務とする。

 以前の計画ではイ400の魔改造版となっていたが、途中様々なものを詰め込んだ結果、完全な別物になっていた。


 それには様々な理由があった。


 まず、イ400は船体上部にある筒状の航空機格納庫から艦載機を出し、格納庫前方のカタパルトで射出するというものだったが、それでは全通甲板でもなければある程度広さのある甲板があるわけではないので着艦が出来ず、艦載機は着水できるようにしなければならず、そうなるとフロートを付けることになり、速度や運動性が著しく低下してしまう。

 さらに、もしそのままの構造で運用するとなれば、これ専用の艦載機を開発することになる。


 そこで考えられたのが、正規空母のように全通甲板を有し、艦載機を全通甲板下部格納庫に収納できる構造にするというものだ。

 単純に言えば、正規空母をそのまま潜水させたような形だ。


 そうして完成した潜水空母はエレザ型と名付けられ、全長250m、幅45mと潜水艦としては最大のものになった。


 艦載機はF-35Cを8機(今後CF-1に切り替える予定)搭載、これらは電磁カタパルトによって発艦する。


 発電機は魔術核融合炉2基、推進は統合戦艦と同じ魔術式超電導電磁推進によって行われる。これによって海上速力は130kn/h(常用最大)、水中速力は240kn/h(常用最大)となっている。


 常用最大潜航深度は400m


 固定兵装は127㎜単装速射砲一基、533㎜魚雷発射管(船首4門)、VLS 12セル(主に対空ミサイル)

 同型艦は6隻となっていて、既に6隻全てが艤装中だ。


「これがあればさらに海軍は強大で最強になるでしょう!陸軍や空軍は眼中にありません」


 これを説明し終えると、ヴィアラは再びその豊満な胸を張り得意げな表情をしていた。

 統合戦艦といい、この潜水空母といいまさに最強の名がふさわしいような艦を持つことになり、それも陸軍や空軍よりも先にこのような最新最強の兵器を導入出来たヴィアラは有頂天になっている。


「ほら、そんなこと言っているとまた……」

「きっと陸空軍は指をくわえて悔しがっているに違いありません!」


 どうやら、他の軍より海軍が優位に立ったことがかなり嬉しいようで、メリアの諌める声さえも今のヴィアラには届かない。


 コンコン


「どうぞ」


 ドアを叩く音に部屋にいた皆が振り向くと、そこにはエレシアとアリサがいた。


「あら、ヴィアラさん。海軍に最先端技術を盛り込んだ軍艦が二種類も完成したことに、とてもお喜びのようで何より。それに最近陛下の近くにいる時間が長いからって態度が大きいそうじゃない?」


 エレシアはさっきの話が聞こえていたのか、入ってくるなりヴィアラに嫌味全開の言葉を投げかけていた。

 ヴィアラに対してかなり苛立ちを感じているようで、腕を組みじっとヴィアラを睨みつけていた。


「そうですわよ、ヴィアラ!ずるいですわよ?」


 さらにアリサもかなりご不満の様子で、頬を膨らませ怒りの表情を浮かべる。

 アリサも恐らく同じ気持ちなのだろうが、頬を膨らませることによって可愛く見えてしまっている。


「これは、これは、エレシア閣下、お久しぶりです。そんなに、怖い顔をしては、その綺麗なお顔が台無しですよ?」


 完全に調子に乗ってしまっている状態のヴィアラは、エレシアの嫌味に対して挑発で返していた。


「何を!」


 そのヴィアラのその挑発的な発言に、ついに沸点が超えてしまったエレシアは、持っていた報告書を丸めヴィアラに襲い掛かる。


「待て!待て!やめろ!二人とも!」


 流石にここで暴れられても困ると思った俺は、ソファーから勢いよく立ち上がり、すかさずエレシアを前から羽交い締めにする。


「今日という今日は許さんぞ!陛下!離してください!」

「いいから落ちつけ!エレシア!」


 俺が羽交い締めにしても、エレシアは怒りが収まらず俺から必死に離れようとする。

 その光景をヴィアラは勝ち誇ったようにニヤニヤしながら見ているだけだった。


 バチン!


 突然何かを叩く乾いた音がこの部屋に鳴り響くと一変、エレシアはピタリと止まった。

 俺はそのエレシアの様子に驚き、彼女から離れる。


「ヴィアラ。みっともないわよ?」

「はっ、大変申し訳ございません。陛下の御前だという事を失念しておりました」


 この状況を一変させたのは、メリアだった。

 先ほどの乾いた音はヴィアラの頬をメリアは平手打ちしたときの音だ。

 メリアはヴィアラの前に笑顔のまま立っていた。しかし、目が笑っていない。

 ヴィアラは痛さ故か、叩かれた頬を抑え、軽く涙を流していた。


「エレシアもよ?ワタに止められても止まらないってどういうことかしら?」

「はっ、大変不敬な行動でありました、申し訳ございません」

「それで?要件はそれだけかしら?エレシアとアリサ?」


 メリアはエレシアとアリサに笑顔のまま向き直り、何の用かと努めて明るく和やかに問いかける。

 ただ、笑顔であることが逆にエレシアとアリサにとってかなりのプレッシャーを与えている。


「ほ、報告書をお持ちしました」

「アリサは?」

「……」


 そのプレッシャーにエレシアはもごもごとメリアに返答し、アリサは下を向き何も答えられずにいた。


「そう、エレシアご苦労様。とりあえずそこに置いて。明日見るわ。とりあえずワタは疲れているだろうから後宮に行きましょう?」




一部表記加筆修正 2021/12/18

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