335.国外情報2
これを見た俺は、少し目頭が熱くなるのを覚えながら、エンペリア王国とはこれからも助け合っていこうとそう心に決めた。
次に、最近王国軍上層部や政府高官の間で盛んに噂となっているイスフェシア皇国についてだ。
これまでも何度か情報を得ていたが、その情報のほとんどが余り精度の高い情報ではなかった為、これまでもイスフェシア皇国は多くの謎に包まれた国という事になっていた。
今回の情報もそこまで多くないが、その中には驚きの情報が書かれていた。
・イスフェシア皇国の動向
イスフェシア領内には現在帝国軍だけではなくテレン聖教国軍からも侵攻されている状態。
テレン聖教国は以前までイスフェシア皇国との間に軍事同盟を結んでいたはずだが、帝国軍工作員によるテレン聖教国上層部に対しての工作によって手のひらを返し、帝国側に再びついていた。
帝国軍はイスフェシア皇国へ特殊部隊を潜入させ、べリア城に侵入した模様だが、その後の正確な情報はまだつかめていない。
イスフェシア皇国の勇者“オゼット”が帝国軍の兵士との戦闘により敗北。そのまま帝国軍に捕らえられてしまう。
その捕らえられていた“オゼット”は、帝国国内のアーザノイルの捕虜収容所にいるところを王国中央情報局の局員によって発見される。ここには“オゼット”のみならず、先の大戦で行方不明となっていたコンダート王国軍の将校等が複数生存していたことも判明した。
これについて救出作戦を計画中、その後コンダート王国に移送予定。
「勇者が敗れた……、となると帝国は何かまだ隠している兵器か強い兵がいるという事なのか……?」
俺はその勇者がどんな能力を持っているかわからないが、勇者と呼ばれるぐらいなのだからある程度の力を持っているはずだ。しかし、その勇者が帝国の特殊部隊にやられたとなると、これからその帝国の特殊部隊についてよく調べないといけない。
「それに、湯之沢城に現れたあの帝国兵達もかなり強かったしな……。早急にこの事案について詳細な調査を依頼しないと」
俺はKCIAへの依頼書に「帝国の特殊部隊についてを早急に調査せよ。尚、この調査にあたる際、細心の注意を払うように」と書いておく。
最後にイスフェシア関連の情報にはこう書かれていた。
現在帝国内から女性2人組の馬車がコンダート王国北部に向かってくることが確認されている。
発見した諜報員によると、そのうち一人がイスフェシア皇国の女皇に非常に似ているとのこと。
しかし、密入国者の可能性も否定できないので引き続き監視をしていく。
・出雲国について
国内で起こっていた反遠城帝派は国内各所で挙兵したが、そのほとんどが遠城帝派の大名たちによって鎮圧された模様。
そのうち大和近くで挙兵してきたところに対しては、コンダート王国海軍と海兵隊の支援を受け即刻鎮圧され、挙兵した大名は切腹、さらに一族郎党晒し首の刑になった。
しかし、まだ国内には反遠城帝派が多く残っていることがわかっている。
出雲国側からの情報によればその大部分に帝国が絡んでいる模様。
帝国海軍に強襲上陸されてしまった出雲国の南方諸島は、王国海軍第二次出雲派遣艦隊による逆上陸作戦の成功により奪還成功。
その過程で帝国海軍情報局員をとらえることに成功、捕らえた人物はハルト家の令嬢で、彼女はコンダート王国内のシンシナの戦いで戦死したハルト・キールの妹、ハルト・ミネルヴァだ。
ミネルヴァを王国国内の捕虜収容所に収容したのち、3日間に及ぶ“お話”をした。結果、帝国海軍内部の詳細な情報を手に入れることができた。鉄製艦の情報も彼女から得たものだ。
湯之沢城に攻撃を仕掛けて来た帝国兵とそれに加担した出雲側の人間についての情報は現在調査中。
この関連で、大和城周辺で商売している人物がこのことについて情報提供したいとの申し出があった。これについても現在調査中。
「……なるほど。さて、今度は国内の情報か……、はぁ……」
ようやく膨大な国外の情報が書かれた資料を読み終わった俺は、その隣に山になっている国内情報に関する資料や報告書を見て大きくため息をつく。
「こうしてても、しょうがない……さぁ、読むか」
俺はその山を減らすために、その山に手を伸ばす。




