322.帝国兵の再来
通信室へとついた3人は、二つの司令部に無線電話を行おうとしていた通信兵から無線機を少々強引に奪うと、すぐにエルノイド大佐は、まずは第一海兵遠征軍司令部に繋げた。
「こちら、湯之沢城にいるエルノイド大佐、第一海兵遠征軍司令部聞こえますか?」
「湯之沢城……、っ!無事でよかった!こちらは第一海兵遠征軍司令部!すぐにレノア司令官と代わります!」
応答してくれた司令部通信要員は、こちらのことを心配してくれていた様子で無事でいてくれたことを素直に喜んでくれているようだ。
そして、その通信要員はすぐに状況を判断し、レノア海兵隊大将に直接繋げてくれた。
「レノアだ、聞こえるか?」
「レノア閣下、聞こえております」
「……、何故今までこちらに連絡一つもよこさなかったんだ?」
レノア海兵隊大将は無線から聞こえてくる声でもわかるように、心配している様子を見せながらも、何も報告をしてこなかった事に対して苛立ちと怒りを感じているようだ。
「そのことについてですが……」
エルノイド大佐はレノア海兵隊大将に事の顛末を事細かに説明した。
聞いていくうちにレノアは状況を察し、最初にあった怒りのようなものからくる棘のある話し方が、いまは返事をする声まで柔らかくなっている。
「……、そうか、事情は分かった。陛下は?陛下は無事か!?」
「両陛下は怪我もなく、ご無事です。陛下は先ほど、ミスティア隊とメランオピス隊を伴って湯之沢城から脱出いたしました」
「陛下は無事なんだな!それは何よりだ……」
一番の懸念であった両陛下の身の安全を聞いたレノアは、そっと胸をなでおろす。
もし、ここで両陛下が亡くなったとなれば、王国全軍の士気が一気に下がり、いくら現代兵器で戦力が向上したとはいえ対帝国戦が間々ならなくなってしまう。
「それと閣下、救援と近接航空支援要請をいたします」
「それには、及ばんよエルノイド大佐。もうすでに君らを除いた第一海兵遠征軍の全ての戦闘部隊がそちらに向かっている。恐らく一番早い部隊は後10分もしないうちにそちらに着くだろう、それまで耐えてくれ」
第一海兵遠征軍は既に大和にあった臨時駐屯地からすべての戦闘部隊が出撃しており、その中でもMV-22やCH-47に分乗した第二海兵師団は間もなくヘリボーンで湯之沢城裏門近くの平原に展開する。
「レノア閣下、それはどういう……」
「これは、出雲側から越之国に帝国軍の部隊が潜んでいるという情報が提供されたので、その情報と君ら現地部隊との連絡が途絶したことを受けて、部隊をそちらに向かわせたということだ。陛下に関しては途中ヘリで回収する」
「はっ!ありがとうございます!それまでなら来援があるまで何の問題なく耐えられます!」
「幸運を祈る、アウト」
これで自分たちは生きて帰ることができるようになり、そっと胸をなでおろす。
第一海兵遠征軍司令部に連絡をいれた後、すぐさま第一連合艦隊司令部に連絡を入れようと思ったが、第一海兵遠征軍が全力出撃してきているのでその必要性はないと判断し、見送ることにした。
「大佐殿、これで我々は本国に帰ることができるんですね!」
「その可能性は高くなったな。しかし、まだ気を抜くのは早いぞ。これから援軍が来るまで奴らの猛攻を防ぎきらないといけないからな」
「そうですね……」
来援が来るとは言え、10分の内に敵がここに一気になだれ込んできてしまえば、こちらも無事では済まされないだろう。
それまではなんとしても裏門を死守しなければならない。




