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319.遠城帝の甘い考え

 

 一方大和城では


 越之国内で多数の帝国兵の目撃情報が遠城帝の元に報告が上がっていた。

 この報告を上げて来たのは国内の情報収集も担当している外事奉行の山本直義だ。


「殿これは非常に由々しき事態にございます」

「うむ、これでは我が客人を敵地に放りこんだと言われても何も言えんな」

「左様にございます、さらにこれでご客人の機嫌を損ねたとなると、せっかくの同盟が破棄どころか、むしろ我々に向かって牙をむけられまする」

「確かに……」


 直義からこのことを聞いて遠城帝は、自分のしてしまった大きな失敗に気付く。

 それは、その帝国兵達が潜んでいるという越之国湯之沢城に、最近やって来たばかりのコンダート王国国王御一行を向かわせてしまったからである。

 しかも、ご客人に湯之沢の町にある温泉旅館でゆっくりとしてくるように言ってみてはどうかと、提案してきたのは錦上頼政だった。


 彼は最近帝国との繋がりをにおわせるうな不穏な動きを見せているので、その情報からして、もしかしたら彼が今回のことを手引きした可能性が考えられる。

 実際に王国国王御一行が越之国へ向かうことを知っているのは彼と自分と各奉行トップのみ。

 そしてそんな彼はというと、丁度客人の一行が湯之沢へと向かったとほぼ同時に越之国から見て南西にある隣国、神濃(しんの)(くに)へと自身の配下を連れて向かっていた。

 この偶然とは言えないこの行動に、遠城帝はなおさら彼の怪しさが増す。


「このままにしてはおけん。直ちにご客人がいる湯之沢城に兵を送れ」


 遠城帝はこの情報を受け、すぐさま越之国へと救援を送るように指示を出していた。

 その部隊として選ばれたのが縦須賀の港で伊勢崎十史郎の軍だった。


 彼が指揮する軍は総兵力3500名とこの国の旗本の身分で持つ兵力としては最大、主な任務は遠城家の管理する領土や施設に敵対勢力が破壊、または妨害行為を行った若しくはそれが想定される際に、その敵対勢力に対していち早く反応できるよう組織されており、命令から1時間以内には行軍を開始できる。また半径200㎞以内であれば騎馬のみの部隊であれば3日以内に到達できる能力を有する。

 そういった特殊な任務を帯びていることもあって、兵力のほとんどが機動力の高い騎馬によって占められている。



「でしたら、伊勢崎十四郎は如何でしょう?彼の軍であれば強行軍で3日以内に到着できるでしょう」


 軍の大部分が騎馬で占められているので、騎馬だけの行軍でよければ3日とかからずに湯之沢城に着くことができる。


「うむ、では、伊勢崎に任せよう。念のため後詰の軍も差し向けさせよ」

「ははっ!直ちに!」



「何と!帝国兵が越之国国内に潜んでいただと!それはまことか!」


 遠城帝が命令を下してから暫く。

 伊勢崎十四郎の元に大和城から伝令が来ていた。

 その言葉に十四郎は驚きを隠せずにいた。


 それもそのはずで、出雲国周辺海域では散々な目には合わされてきたが、それでもこの国に上陸だけは許していないと思っていた帝国軍の兵が、既に越之国国内に潜んでいたことは何よりも衝撃的なことだった。

 さらにその潜んでいるとされる越之国には、コンダート王国の国王と女王が温泉旅行に行っているというのだから。


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