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308.城内戦闘4

 

 丁度その頃ベルはというと、風を纏った女剣士と戦っていた。


 ガキンッ!ガン!


 ネイサンの掛け声と共にその女剣士はベルに激しく剣で斬りかかる。

 それからしばらくの間、二人の間には会話すらなくただひたすらに剣をぶつけあう。


 パンッ!パンッ!


 ベルは攻撃の途中左のサイホルスターから抜いたSIGP226を片手で構えて撃ち、相手を牽制する。

 しかし、相手の女は銃が出されてもひるむことなく放たれた弾丸もひらりと軽くよける。

 ベルは銃を撃つことによって相手の隙を突こうとしたが、逆に銃を撃ったことによってベルに隙が生まれてしまっていた。


 その隙を相手は見逃すはずもなく、一気に距離を詰める。

 目前まで一気に詰め寄って来た女はベルの首を刎ねようとするが、間一髪のところでベルはその剣を自分の剣で防いだ。


「くっ!やるわね!」

「あなたこそ、でも、そろそろ本気出さないとね!」


 相手の女はそういうとベルの腹に思いっきり回し蹴りを喰らわせ、廊下の柱に激突させる。


「ぐはっ!」


 相手の強烈な蹴りによって柱に打ちつけられたベルは、その場にへたり込む。

 その威力と衝撃を物語るようにベルが打ち付けられた柱には大きなくぼみが出来ていた。


 そんなベルに向かって相手の女はとどめを刺そうと何かの魔法を詠唱し始める。

 詠唱し始めたその女の周辺には、小さな竜巻のようなものが複数発生する。恐らく風属性魔法なのだろう。


(こうなったら本人には少し酷だがベルの“アレ”を発動させるか)


 相手の女によって窮地に追い込まれたベルを救うため俺はとある強硬策をとった。


「ベル!こっちを見ろ!」


 俺の声にベルは、相手の攻撃がわき腹に直撃しその痛みに苦悶の表情を浮かべながらも健気にこちらを見てくれた。


「ワ、タ様?」

「レナ、すまん」

「んっ!……、陛下……?」


 ベルの視線が俺とあったことを確認した俺は隣にいたレナの唇を強引に奪う。

 突然のことにレナは成す術もなくただ唇を奪われるだけであったが、その満足そうな表情から彼女はまんざらでもないようだ。


「……ソイツ、こロス」


 俺とレナのキスをしているところをわざと見せたのだが、これはベルのカオスモードを無理やり発動させるためだ。

 この様子を見たベルは案の定、全身から黒い瘴気を出し始めた。


(二人ともごめん)


 俺は緊急とはいえこんな手段しか取れなかったことを心の中で二人に謝る。


「相手を切り裂け!“サイクロン”」


 丁度ベルがカオスモードになった時、相手の女がこちらに向けて詠唱していた“サイクロン”という風属性魔法を放つ。


「オマエ、邪魔、こロス!」


 しかし、魔法は立ち上がるよりも早く複数の背丈ほどの竜巻がベルに直撃する。


「ベル!」


 俺がそう叫んだ時には、ベルには竜巻が直撃していた。

 直撃後、ベルの後ろに立っていた柱や床の木の板の一部が吹き飛び、土埃のようなものが上がっていた。


「やったか。大したことなかったわね……。」


 土埃が収まると、そこには黒い瘴気を全身に帯びた状態のベルが何事もなかったかのように立っていた。


「な、なんで?あれが当たった人間はズタボロになるはずなのに……。どうしてなの?いったいあなたは何者?」


「ウルサイ、私とワタさまノ邪魔する、ヤツ、コロす」


「この化け物め!サイクロン!」


 再び相手の女は竜巻をベルに向かって放つが、その竜巻がベルに触れる前に纏っている黒い瘴気に吸収される形で相殺されていた。


「オマエ、ナんで邪魔スルノ?コロス、コロス、コロス、コロス!」


「ヒィッ!嫌っ!来ないでっ!」


 到底先ほど戦っていた人間とは思えないほど変わり果てたベルを見た女は、恐怖あまり悲鳴をあげその場にへたり込んでしまう。


 そんな女にベルはゆっくりと近づいていく。

 ベルは女の近くいくと、その女の腰の上に馬乗りになる。


「コロス、コロス、コロスコロス、アハハハハハハ!!」

「キャーーーーーーーー!」


 馬乗りになったベルは腰にあったはずの剣を探す。


「剣、ナイ」


 剣がないならとサイホルスターに収めてあったSIGP226を探す。


「銃、ナイ」


 武器がないことに気付いたベルは馬乗りになったまま固まり、どうしたものかと思案する。

 ベルの持っていた武器は先ほど飛ばされた時と竜巻が飛んできたときにどこかに飛ばされていたのだ。


「殴ル」


 武器もなく魔法を使うことが出来ないベルは、困り果てとにかく自分の拳を相手にぶつけることを選択した。


「や、やめて、お願い……降参するから」


 相手の女はあまりの恐怖に半泣き状態でベルに命乞いをしていた。


「ウルサイ、黙レ」


 しかし、こんな状態のベルがそんな女の淡い期待など叶えてくれるはずがない。

 ベルはゆっくりと拳を上げ、勢いよく腹を殴りつける。


「グハッ!グフッ!」」


 腹を殴られた女は次に顔を殴られるものだと思い、とっさに腕と手で顔をガードしていた。ベルはそんなことはお構いなしに腕ごと顔に叩きつけるように殴る。


 そのあとベルはその女が気絶するまで殴り続けるのであった。



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