307.城内戦闘3
エレオノーラに体勢が整わないうちに攻撃を受けたネイサンは、その攻撃をギリギリ剣で防ぐのが精一杯だった。
「ぐッ!」
攻撃を防いだのはいいものの、その攻撃の衝撃が強すぎて、ネイサンの足は床を突き抜けてしまう。
「何?もう終わりなの?」
「大佐!」
ネイサンが危機的状況に陥っている状態を見た帝国兵は、捨て身の攻撃をエレオノーラにぶつける。
「そんなもの聞かないね」
しかし、そんな攻撃はエレオノーラにとっては大したものではなく、あっさりと切り伏せられる。
ただ、その帝国兵のおかげで足がめり込んでいたネイサンは何とかそこから脱することが出来ていた。
「チッ!強いな、ならこれはどうだ?クワッドスラッシュ!」
「同じ手には引っかからないわよ?」
ネイサンは先ほど放った風の刃を再びエレオノーラに向けて放つ。
しかし、エレオノーラは軽いステップで華麗によける。
「あなたのことは狙ってないよ?」
「?!しまった!」
風の刃はエレオノーラによけられた後もそのまま進み続けていた。
その先には、メリアやレナがいるところに向かっているのだ。
「ご主人様!!よけて!」
その言葉にメリアがすぐに反応していた。
「我らを守り給え!プロテクション!!」
エレオノーラの声に反応した、メリアは剣を地面に突き立てながら呪文を唱える。
するとメリアやレナ達の正面に半円状のシールドが展開されていた。
そのシールドによって風の刃は全てはじかれる。
「こっちは大丈夫よ!」
「よかった……、うっっ!」
メリアの素早い反応のおかげでレナと俺に被害はなかった。
しかし、その様子に気をとられていたエレオノーラはネイサンが三度放った風の刃への反応が遅れてしまい、わき腹や左頬に当たってしまう。
「よそ見しないでください?……あらら、そのお美しいお顔を傷付けてしまいました、なんてことを……(まぁ、いっか、後でどうせぐちゃぐちゃにしてやるからな)」
「ううっ!フフッ……やるな、リカバリー!」
エレオノーラは受けてしまった傷を“リカバリー”という回復魔法で回復させる。
この魔法は軽く斬られた程度であればすぐにその傷を癒すことのできる初級回復魔法だ。
「なによ、この程度なの?じゃあこっちからいくわよ!ソニックストライク!」
「なっ!」
詠唱した瞬間、エレオノーラはネイサンの視界から消えていた。
一方その頃ローザはネイサンの部下である女性と戦っていた。
両者ともに素早い動きで激しく剣をぶつけ合う。
しかし、ローザの剣を振るう早さよりその女の攻撃の早さの方が上回っているようで、徐々にローザは押され始める。
「くっ!つよい!」
(ここまで押されるなんて初めてだわ)
ローザは焦っていた。
彼女はこれまで様々な戦いに身を置き色々な強さの敵がいて、その時も多少押されるときがあったが、それでも負けることもここまで焦りを感じることはなかった。
何故彼女はここまで押されているのか?
それは、相手の女が剣での攻撃だけではなく、時折足や魔法の攻撃を組み合わせてきているからだ。
さらに相手の女は雷属性の魔法を剣と体に纏わせ攻撃速度を上げ、激しい攻撃をローザに浴びせる。
「キャッ!」
ついにローザは相手の女の攻撃に耐えることが出来ずしりもちをついてしまう。
そこに追い打ちをかけるかのように、相手の女は地面を蹴り一気に距離を詰める。
「……ライトニングソード」
相手の女は何かつぶやいたかと思うと、今までも剣に纏っていた稲妻がより一層輝きを増し、その剣は目が眩むほどの強さで輝いていた。
「ローザ!危ない!」
それを見ていた俺は、とっさにSIG MCXの銃口をそのオンナに向けフルオートで撃っていた。
ダダダダダダッ!
ゴトッ!
「……くっ!ず、ずるい」
俺が撃った弾は見事相手の女の右肩に一発命中し、撃たれた女はその痛さと衝撃で持っていた剣を床に落としてしまう。
「フラッシュ!」
「うわっ!」
「キャッ!」
形勢不利と見たその女はフラッシュという目くらましの魔法を使い、その場から離れようと試みる。
それを見事に喰らった俺とローザは目を瞑りながら顔をそむける。
「野郎!やりやがったな!」
ダダダダダダッ!
激しい閃光を喰らい目の前が一瞬見えなくなった俺は、その女を逃がすまいとさっきまでいた方向に向けて再びフルオートで短く撃つ。
バタン!
どうやらその女のどこかに当たったようで、倒れる音が聞こえる。
しばらくして再び見えるようになると、元居た場所でその女は倒れていた。
よく見ると足の甲付近に命中した様子で、その女は残った左腕でその撃たれた箇所を抑えながらうずくまっていた。
「……、この外道!グアァ!痛い」
撃たれた女はこちらを鬼の形相でにらみつつ、その痛みに耐えきれず苦悶の声を上げていた。
「……、いい相手だったわ、ずるいと思うけどこれが“戦争”よ、ここで楽にしてあげる、さようなら」
ローザは苦しむ女の元に近寄り、その苦痛から解放してあげようと剣を突き刺そうと両手で構えた。
それを見た女は覚悟を決め、目を瞑りその時を待った。




