280.越之国へ2
向かっている途中俺は、助手席にいるレナから報告を受けていた。
「まず、南方領土に侵攻している帝国の動きです、こちらをご覧ください」
レナから手渡された書類の上の部分には、南方領土に侵攻中の帝国軍の推定兵力が細かく記載されていた。
帝国東部方面侵攻軍 フェリックス・エガー海軍大将(対出雲国方面軍事作戦司令長官)
陸軍
陸軍第15魔術化大隊(南方領土上陸作戦支援)
空軍(全て第四艦隊隷下)
空軍遠征竜騎兵連隊 ハキム・フォルマン空軍准将(南方領土への空爆任務、海軍第四艦隊隷下)
空軍空中輸送師団
空軍連絡大隊
空軍飛空艇艦隊 (南方領土に帝国の橋頭保を得た後進駐、上陸部隊への近接航空支援を行う)
海軍
海軍第四艦隊 エインリッヒ・ヴァルグナー少将(出雲国西部海域担当 南方領土上陸作戦支援)
海軍第十艦隊
海軍第十一艦隊
海軍第5海兵隊(師団規模、南方領土上陸作戦部隊 第四艦隊隷下)
海軍第6海兵隊
海軍第7海兵隊
海軍情報参謀部諜報課 課長 ハルト・ミルヴァ海軍大尉(南部方面後方かく乱任務)
この陣容を見るに帝国は相当出雲国への侵攻作戦に力を入れていることがうかがい知れる。
何故ここまでして帝国が出雲国の南方領土を奪おうとしているのか?
王国海軍情報参謀本部の情報分析によると、恐らく帝国はこの地を占領したのち要塞化し、王国と出雲国本土への侵略部隊の中継基地の役割を持たせたいのが目的だろうと思われる。
帝国にとっての大きなメリットとして、ここを中継基地とすることでこれまで出雲国内陸部への空爆が難しかったが、ここからならば大和まで飛空艇であれば往復できる距離になるので容易に空爆を行えるようになることだ。
「帝国もかなり本気を出してきているようだな」
「ええ、そのようです。この書類には書かれていませんが、最新情報では帝国軍はさらに南方領土へと兵を送り込む準備を始めているようです。恐らくこれは出雲本土への侵攻する為の部隊とみていいでしょう」
「こうなると、出雲国へ本格的に支援を始めないと不味いな……、それよりレナ、出雲国内はどうなっている?」
「それはこちらの書類をご覧ください」
レナから新たに書類に目を通す。
「出雲国内の情報に関しては我々の情報部隊が不足しているということもあって、出雲国側から提供された情報のみとなっています。まず一つ目ですが、海軍を統率している館浜家の領内に反政府組織が侵入し、領内の村々を荒らしまわっているようです。これに対して領主琴音が自領に戻り兵を率いて反撃に移っている模様です」
「そうか、次は?」
「次に、出雲第二の都市である“西都”(元の世界の日本で例えるならば京都付近)に複数の反遠城帝派の領主の兵が向かってきているようで、既に親遠城帝側が守る城が次々に落とされている模様です」
「そうか」
「陛下?」
「いや、わかっている、こんな時に悠々と温泉に行っている場合じゃないことぐらい。だが、俺たちがこのことに干渉するのはお門違いだ、それに今大和にいる部隊だけでは支援するにはあまりにも限定的すぎる、一先ず我々が優先すべきは南方領土奪還だけだ、それ以外は少し様子を見ようじゃないか」
「御意」




