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278.国内騒乱2


 確かに琴音の言う通り、もしコンダート王国がこの国に侵略してきたというのならばもうすでにこの城は簡単に落とされコンダート王国の旗が立っているだろう。


「いや、彼らは今この国に入って色々探りを入れているに違いない、そのあとにきっとこの国を取りに来るであろう。そうなったらどうなさるおつもりか?そもそもこの国に易々と外国の兵を受け入れさせたお帝様には大いに問題があるのではないか?こんな方にこの国を任せる等到底出来ませぬ!」


「うむ、頼政殿のおっしゃる通り、このままではこの国が外国に乗っ取られてしまう。これは到底許すことはできませぬ」「これでは話になりますまい、某はこの後所要がある故、これにて失礼」


「某も失礼させていただく」


「お二方がいないのなら某も失礼する」


 そういうと、老中の三人は立ち上がり天守閣から去ろうとしていた。


「貴様ら!言うことだけ言って逃げるつもりか!おい!戻らんか!」


 その様子に怒りを覚えた忠信は声を荒らげた。

 しかし、老中はそんな忠信の声に振り向きもせず、天守閣から姿を消していた。


「くそっ!」

「忠信、もうよい」

「しかし!」

「もうよいのだ、わかりきったことだろう?」

「……、御意」

「今日も解散だ」


 忠信をなだめた遠城帝の顔は落胆の色に染まっていた。


 その後しばらく、その場に沈黙が訪れていた。

 しかし、それは入口のふすまが勢いよく開かれた音によって破られる。

 ふすまが勢いよく開かれたかと思うと、勢いよく甲冑を来た武士がなだれ込こみ、堰を切ったように遠城帝に報告し始めた。


「お帝様!松江国井出氏が謀反!それに呼応して愛後国卜部氏も謀反!」

「お帝様!館浜の領内に赤池氏の兵が攻め込んできたとのこと!」


 どうやら大和から離れた位置にいる外様大名が謀反を起こしたようだ。


「いっぺんに申すな!いったい何が起こっている!その者申せ!」


「はっ!井出氏と卜部氏の両氏合わせて5万の兵を隣の国の譜代大名太田氏の領地に向かわせているとのこと!」


「目的はなんだ?」


「はっ!恐らく西都(せいと)にまで攻め込むものかと」


 西都とは大和に次ぐ大きな都市で、遠城政権の出先機関等が多くある重要な場所である。


「それは不味いな、すぐに兵を出して鎮圧にあたらせるように伝えろ!」


「はっ!」


「もう一人は?」


「はっ!館浜の領内に赤池氏の兵およそ3万が突如攻め込んできた模様、既に館浜武士団が応戦しておりますが、あまり旗色は良くない様子」


「赤池め!ついに攻めて来よったか……、お帝様、妾はこれにて失礼させてもらうぞ」


「ああ、気をつけてな」


 その報告を聞いた琴音は、すぐさま自分の領地に戻り陣頭指揮を執るべく部屋を後にした。


「お帝様!」

「今度はなんだ!」


 その後も立て続けに報告が飛んでくる。


「はっ!南方領土が帝国により陥落!南条里氏様が敵の捕虜となった模様!」


「な、なんだと」


「父上が!なんと……」


「早馬によると帝国は南方領土にさらに兵を送り込んできているようで、このままだと奪還も絶望的」


「くそっ」


「しかし、そんな中良い知らせもございます」


「何だ申してみよ」


「はっ!これは前回の会議で王国側からあったとおり王国の艦隊がすでに帝国部隊に接近しつつありとのこと。これによりひょっとすれば奪還も夢物語ではないかと思われます」


「そうか、なれば一安心。して、彼のご客人は何処に」


「はっ!順調にいけば今頃越之国と後野国との国境付近かと」


「そうか、少しでもゆっくりできるといいが」


「それには心配及びませんでしょう、何せあちらにはお帝様の弟君がいてくださっているのですから」


「そうだな」


「報告!」


「なんだ!」


 次々に来る報告に、流石に苛立ちを隠せない遠城帝は少し声を荒らげる。


「越之国へ4万以上の所属不明の兵が向かっている模様!」


「それだといくら我が弟といえど危険な状況だな……、しかも今やご客人が向かわれている……、一先ずご客人に急いで引き返すように早馬を出せ!」

「はっ!」



 ここから出雲の国内はさらに混沌としていく――――。


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