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254.館浜湾沖海戦4

 その電文の内容を聞いたエレンは、自分がしていることが間違っていることだとようやく気付いた様子で、その後はまるで魂が抜けたかのように口を開けたまま固まってしまっていた。


 それから間もなくして、エミリアが大和の艦橋に入って来た。

「エミリア司令がお戻りになりました!」

「みんな、ご苦労様……、エレンよく頑張った、後はかわるわ」

「司令……お力になれず申し訳ございません」


 エミリアに諭されたエレンは深々と頭を下げていた。

 そんな彼女の眼にはうっすらと涙が浮かんでいた。


「あなたらしくないわね?艦長室に行って少し休みなさい、悪いけど副長はそのまま艦長代理を続けてもらっていいかしら?」

「司令より艦の指揮お預かりします!……艦長、きっと疲れてたんです、ここで一息ついてください」

「お言葉に甘えさせていただきます」


 どうやらエレンは急に艦隊司令としての責務を預かり、根を詰めすぎ精神的に参ってしまっていたようだ。




「さて、今はどんな状況?」

「はっ!現在帝国艦艇33隻の撃沈を確認、残るは出雲国海軍艦艇を取り囲む7隻のみとなっております、砲撃はすでにエミリア司令の命令通り全艦砲撃を中止させています」


 出雲国海軍を追い詰めるため密集していた、帝国艦艇は完全な不意打ちだったため逃げることもままならなかったので、最初の一斉射撃によってほとんどを撃沈されていた。

 戦力が急激に減った帝国海軍は戦意が一気に喪失したため、今は砲撃も船の上での戦闘も止まっていた。

 そして、それと並行するように駆逐艦計4隻は乗る船を失い海の上に浮かんでいた人を救助していったが、その数が多かったため艦内に収まりきらず甲板上にも救助者があふれてしまっていた。


「報告ありがとう、もう少し早く私が命令なり助言なりしていればこうならなかったのよね、エレンには悪いことをしたわ」

「いえ、エレン艦長は何とか務めを果たそうと頑張っていましたし、我々が疑問に思ったのは海兵隊の一件だけですし……、それより、この後はいかがなさいましょう?」


「全艦を敵の砲撃範囲外まで接近させて、降伏を拡声器などで促して、それでもあちらに戦う意思があるようならある海軍部隊を船に強襲させるわ」

「と、言いますと?」

「実はワスプには海軍特殊部隊、通称“ネイビーベレー”が乗っているの、つまりはその強襲には海兵隊ではなくて、彼らを向かわせるの」

「なるほど、そういうことだったんですね!ですが我々は何も聞いていなかったのですが」

「それはこの部隊を秘匿するために、海軍上層部の一部とワスプの乗員しか知らないことにしていたの」


 エミリアの言う海軍特殊部隊、通称ネイビーベレーは海軍に大和等が配備されたころと同時期に発足していて、その存在は海軍のほんの一部の人間しか知らない謎に包まれた部隊であった。

 名前からも想像できるように、これもアメリカ海軍のNavy SEALsをモチーフとしていて、元となった部隊のように陸海空どこでも活動可能になっている。

 ネイビーベレーは任務や地域によって部隊がチーム(大隊規模)ごとに分けられている。

 部隊編成は以下の通り


 海軍特殊作戦軍

 海軍特殊部隊ネイビーベレー

 司令部 (司令部所在地:ガンダート駐屯地)

  チーム1  帝国東部担当(王国北東部)

  チーム2  帝国中部担当

  チーム3  帝国西部担当(王国北西部)

  チーム4  出雲国担当(駐出雲政府高官及び将校警護任務等)

  チーム5  王国東部海岸及び沿海域担当

  チーム6  対テロ作戦担当

  チーム7  王国南部海岸及び沿海域担当

  チーム8  王国西部海岸及び沿海域担当

  チーム9  エンペリア王国担当(駐エンペリア政府高官及び将校警護任務、軍事指導)

  チーム10 特殊作戦研究開発チーム(入隊希望者選抜訓練、使用兵器選定)


 以上のように分けられているが、チーム6、10を除く基本的な彼らの任務は国外潜入偵察・監視・破壊工作が主だったもので、友好国内では協同軍事作戦や在外政府高官や海軍省所属将校(例外あり)の護衛の任務が付与されている。

 また副次的な任務として不審船への強襲臨検や武装集団に占拠された船舶への強襲、友好国への軍事指導などがある。


 ネイビーベレーチーム4が今回の作戦に参加しているのだが、彼らは副次的な任務でもある出雲国に入港後の艦隊の重要人物の護衛にあたることになっていた為同行していた。


 

 そして今、友好国の将軍という人質を救出するという状況下においてネイビーベレーが一番適当であるとエミリアが判断したのだ。

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