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240.アルダート駅2


 商業施設をあらかた回り終わった俺たちは、少し遅めの昼食を13階にある高級レストランでとることにした。

 そこで、俺はやっと休めると思いつかれた体を椅子に下したとき、階下から轟音が鳴り響いた。

 

 「何が起きた!」


 その轟音とともに俺は疲れなど吹き飛び、とりあえず近くにいたミセア大佐に情報が通信によって流れてきていないか確認をとっていた。


 「わかりません!ただ何かが爆発したとしか……」

 「すぐに調べろ!ったくなんでこんな時に!」

 「警備はどうなっているの?完璧にしたはずじゃないの?」


 メリアの言う通り、ここの警備体制は厳重にしたはずだった。

しかし、現に今、何らかの形でその警備が破られ、何者かによって爆発物のようなものを持ち込まれてしまっている。

 

 爆発音がなってからしばらくして、その現場に到着した武装警備隊の面々から情報が上がって来た。


 「なんて言っている?」

 「どうやら、その爆発は現場に散らばっている破片から、火属性の魔石によっておこったものと推定されたようです……、そして、最悪なことにその周辺には大勢の負傷者が出ているそうです。」

 「人が密集しているとところを犯人は狙ったということか……、その犯人は?」

 「現在捜索中だそうです、間もなく応援も現場に到着してくると思われます」


 どうやら階下で、厳重な警備の合間を縫った何者かによる魔石を使った爆弾テロのようなことが起きてしまったようだ。

 そして現在現場には、アルダート駅に配備されている第一警備師団の隊員たちが負傷者たちの応急処置や避難誘導等の初動対応を行っていて、その初動対応にあたっている現場指揮官の判断によってテロの可能性があるとされたため、国家憲兵、王国警視庁機動師団、近衛第二師団に応援要請をしている。


 ミセア大佐はこの応援としてミスティア隊第二大隊第A中隊を送った。

 今までのミスティア隊は急に起こった事象に対して対応できずにいることが多かったが、何度か実戦を経験してきた彼女らは、これまでの経験を活かして今回はスピーディーに行動を起こしていた。




 しばらくするとその現場には、国家憲兵、警視庁機動師団、近衛第二師団が続々と出場してきた。

 さらに国家消防庁アルダート消防局の特別救助隊や救急隊員・レスキュー隊員たちも来ていた。


 爆発からしばらくたった後、安全が確認されたので俺は避難をすることになった。

 その途中ちらりと現場をみたが、そこには何とも悲惨な光景が広がっていた。

現場には数多くの人が倒れていて、その周辺には血があちこちに飛び散っていた。

 そして爆発の威力が相当強かったのか、鋼鉄製の街灯のようなものがくの字に折れ曲がっていたり、柱から鉄筋がはみ出していた。


 そして出場してきた部隊が総動員されてからすぐに、逃げていた実行犯が発見された。


 犯人を見つけたのはミスティア隊だったようで、発見後犯人との間で戦闘が開始され、開幕早々犯人の魔法攻撃によって、ミスティア隊に数人の負傷者が出てしまった。

 犯人はその負傷者の応急処置を行っている一瞬の隙をついて逃走を図り、その後見失ってしまった……。






 その後この爆発テロ事案は、王立警視庁と鉄道警備局鉄道捜査部の協同捜査が行われることになった。


 その後の捜査によって明らかになったのは、犯人は帝国陸軍所属工作機関員数名でそのバックに王国国内の内通者の存在が明らかになったようだ。

 犯行に使われた爆発物は、推察の通り火属性の魔石を使われ、その魔石は通常の魔石よりも純度が高いものを使われていたことと、その魔石を起爆させた術者の魔術量が高かったこともあって、威力の高いものになったようだ。


 そしてこの爆発によって、死者34名、重軽傷者63名の大事故に発展してしまった。



 そして事件発生から2週間。

 実行犯は全員逮捕され、この事案も無事解決かと思いきや、犯人が逮捕された翌日には犯行声明が王国外務省宛てに届いていた。


それにはこう書かれていた。


「王国の現代化は許さない、打倒ワタ王朝!(by王国内部を知るもの)」

「PS.エンペリア王国に兵器召喚したの知ってるからな!」


 この手紙によって、さらに大ごとに発展したこの捜査には、王立警視庁と内務省特別高等警察庁、KCIAが合同捜査本部を立ち上げて捜査することになり。この犯行声明を出してきた犯人の捜索には陸軍のブラックベレーのA大隊と陸軍憲兵軍特殊任務連隊(敵国及び仮想敵国の軍人や軍属若しくは軍の命令を受け且つ警察力では対抗できない武装をしていると想定されるその組織やグループを逮捕若しくは排除するための部隊)が充てられる。






 一旦王宮へと避難した俺とメリアは、この重大かつ非常に卑劣な事件の解決を専門の人たちに任せ、予定通り姫の待つキーレへブラックホークで向かうことにした。



 鉄道編 完

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←いつも読んで頂きありがとうございます。
拙作のスピンオフ作品です!(執筆者は別人)
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