234.後宮地下射撃場2
「おお、レナか、お疲れ様!合同訓練の感触はどんなだった?」
「陛下、こんなところにいたんですね!合同訓練としては成功したと思っていますが、やはりどの組織もそうですが実戦を経験してみないと何とも言えないところが多いようにみえます。そういってしまうと不謹慎に聞こえてしまいますが、いくらよく訓練されたところでも、実戦でしっかりと判断できるかは別の話だと思いますので」
「そうか……、ただ彼らに関しては軍人ではないから、できる限り実戦は無い方がいいんだが……、一先ずありがとう」
「いえ……、ところで手に持っているそれは何ですか?」
「よく聞いてくれた!これはだなゲパートGM6 Lynxというアンチマテリアルライフルだよ、早速だからどんなものか撃ってみるね!」
百聞は一見に如かず、ということでまずは撃ってみることにした。
まずはアッパーフレーム先端部左上にあるボタンを押しバレルを前進させる、この時「ジャキン!」と甲高くも重い金属音が鳴り小気味いい。
そして装弾数10発の箱型マガジンをグリップの後部に差しこみ、マガジンのちょうど上にあるボルトを引く。
これで発射準備は完了だ。
「Range is going hot!」
さっきまでは一人だったので何も言わなかったが、今回はレナがいるため言ったのだが、この掛け声は射撃場における(アメリカの)「これから撃つからな?気を付けろよ!」みたいな意味だ。
「Going Hot!」
そしてその周辺にいる人は「Going Hot」とコールを返してあげる。
ドンッ!カシャン!
撃ってみると流石は50口径(12.7㎜)ということもあって、反動がものすごく強くそのまま後ろに持っていかれそうになる。
しかし、大きなマズルブレーキもあってか何とか制御はできる。
そして何発も撃つうちにコツをつかみ連射が容易にできるようになった。
慣れてきたところでレナにも撃ってもらうことにした。
「どうだレナ撃ってみない?」
「ハイ!撃ってみたいです!」
レナもどうやら撃ちたかったらしく、俺のその誘いに目を輝かせながら返事をしていた。
レナも俺と同様にイヤマフとアイプロテクターと手袋をつけ、射撃を開始した。
もちろん、レナにこれを渡すときには安全を考慮して銃身内に弾が入っていないことを確認したうえで、空撃ちしてハンマーダウンした状態で渡している。
早速撃ってもらうと、体格もあってか撃った反動でよろけていた。
立射はきついように見えたので彼女には伏射してもらうことにした。
すると、距離800mに設置したターゲットに全弾同じ位置に命中させるということをやってのけた。
「これ、気に入りました!すごくいいです!これをうちの部隊に持って行って試験運用してみてもいいですか?」
「いいよ!ちょうど特殊部隊向けの超長距離狙撃用の銃を選定しようと思っていたところだから」
レナはこの銃を気に入ってくれたようで、明日以降早速自分の部隊に持って行って試してくれるそうだ。
ピ~~ッ!
そんな話をしていると、突如として、大音響で警報音のような甲高い音が射撃場に響いた。
これは、さっきかけておいた警報機が鳴った音だ。
タイミング的に、恐らくメリアが迎えに来てくれたのだろう。
俺は入口まで行き防弾扉の前に立っているメリアに一声かけてから、すぐに銃をレナと手分けして片付けをすぐに終わらせ、夕食を食べに大広間へと二人は戻ることにした。




