211.夜の列車で2
レナがいなくなり、ボッチになった俺はシャワー室に向かうことにした。
12号車に行くと、入ってすぐのところにあるシャワー室前に壁によりかかり窓の外をじっと見つめるミレイユがいた。
彼女はHK416Dをローレディの状態で保持し、右太ももにあるホルスターにはSIGP226が収まっていた。
恐らくこうしている理由は中にいる姉のエレザを守るためだろう。
「ああ、やっと来たんですね、お姉さまが中で待ってますよ?」
「ん?どういうことだい?ミレイユさんや」
「……んッ」
相変わらずつっけんどんなミレイユに、俺はただ何故エレザが中で待っているのか聞いただけなのだが、聞かれた本人はどういうことか俺に銃口を向け、さらに顎を使って中に入るように促された(というより強制ですよね……)。
幸いマガジンは刺さっていなかったので安心した。
ワタは仕方がなく、そう、仕方がなく(大事なこと)そして渋々(演技)入ることにした。
そしてドアを引いて開け中に入った瞬間、後ろに立っていたミレイユに押し込まれた挙句、ドアをバタンと激しく閉め、何かで開けられないように固定されてしまった。
「なっ!何をするんだいったい!出られないじゃないか!」
流石にあかなくなったことに焦った俺は、ドアをどうにか開けようと必死になっていた。
「おお、やっと来たか、こっちへ来いよ」
「え?!」
声が聞こえたかと思うと不意に背中から腰に手を回され、さらに何か柔らかいものが当たっていた。
そして次の瞬間恐ろしい力でさらに奥へと引き込まれていった。
それからワタはしばらく中から出てこなかった――――。
部屋にようやく戻れたワタは、部屋に入るや否や窓の目の前にあるベットに突っ伏すようにして身を預けた。
それからしばらくベットの上でゴロゴロしていると、ドアがノックされた。
「どおぞー」
「し、失礼します」
入って来たのはレナだった。
「あー、いらっしゃい、今日はレナがご一緒してくれるんだね、ありがとう」
「不束者ですがよろしくお願いいたします」
そういうとレナはその場で土下座のようにかしこまりながら挨拶してきた。
今のレナは先ほどの黒のナイトドレスではなく、藍色を基調とした小紋と呼ばれる女性用の着物を着て来ていた。
(土下座すると谷m……いかんいかん)
ナイトドレスを着ているときは胸元が大きくカットされ、体のラインがくっきりと出ていて扇情的なものだったが、着物を着ると肌の露出が減った分、時折ちらりと見える足や谷間に自然と吸い込まれる。
「い、いやいや、そんなにかしこまらなくていいよ、レナ、とりあえず俺の隣に座りなよ」
「では、そうさせてもらいます」
レナは恥じらいながらも俺の隣に来ると、ちょこんと座った。
「レナ、こっちにおいで」
「あ……」
ワタは足を前に出し、隣にいたレナを自分の目の前に座らせ後ろから抱きつく格好になった。
「こうすると安心しない?」
「そ、そ、そうですね」
「あれれ?レナちゃんどうしたのかなぁ?」
「い、意地悪しないでください!」
「まあ、いいじゃない」
そういいながらワタはレナの唇をそっと奪った。
それから二人の長い夜は続くのであった




