209.寝台特急?でGo!!2
そこには東部にあるジェイル港とベルン港の奪還作戦結果について書かれていた。
このジェイル港とベルン港奪還作戦の海軍側の主力部隊には第3艦隊(旗艦コンステレーション)と第6艦隊(旗艦武蔵)が参加した。
ベルン港近海で合流した両艦隊は、一先ず威力偵察をするためにコンステレーションのF-14Dをベルンに向け発艦させた。
F-14Dが港上空についた時には、以前の報告であったこの港で一時猛威を振るった巨大な水棲モンスターはいなかった。ただそのモンスターによる帝国海軍の艦艇への傷跡は大きく残されており、停泊していたであろう艦艇のほとんどが擱座しているか沈没していたようだ。
しかし、こちらは攻められこの地を取り返さなければならないという任務があったので、弱っている敵とは言え情け容赦しなかった。
その偵察結果を踏まえて、沿岸まで接近した後艦砲射撃を徹底的に行った後、艦載戦闘機を全機発艦させ空爆も行った。
ここまですれば安全だと判断した艦隊指揮官は、艦隊に所属している憲兵を集め臨時攻撃隊として一先ずベルン港に上陸させた。
これだけ見ると後ろ盾はあるとはいえ、戦闘に特化しているとは言えない憲兵隊を向かわせ非常に危険な状態にさせているようだが、艦隊司令もバカではない。
これはこれからカルロゼの作戦後すぐにやってくる近衛第3師団が応援にやってくることを見据えての行動だ。
この後、予想より早く着いた近衛第301連隊によって速やかにベルン港を奪還した。
さらに、一番国境に近いジェイル港には近衛第302連隊と第303連隊が空挺降下し、大した抵抗もなく奪還したようだ。
これにより東部戦線から完全に帝国軍部隊が排除されたこととなったが、依然として国境付近には帝国軍の大規模な部隊が待機しているようなのでまだ予断を許さない状態だ。
最後に海軍側からの要望という形で書かれていた箇所があった。
海軍は今回の作戦で非常に歯がゆい思いをしていた。
というのも陸上の敵を攻撃するとき今の海軍単独で占領はおろか満足に上陸すら行えない、さらに言えば島が占領された場合敵前上陸をして取り返すということもできない状態だ。
それを受けて海軍陸戦隊か海軍特殊部隊、もしくは海兵隊を組織し強襲揚陸艦やドック型揚陸艦を早急に配備したいと書かれていた。
ヴィアラはそれに伴って、強行偵察任務部隊と特殊工作任務部隊を海軍に創設することとなっている。
海軍の部隊編成については今後また練り直しを行ったほうがいいだろう。
「ふぅ、読み終わったし、さてご飯でも食べに行きますか」
報告書を見終わった俺は、遅めの夕食をとることにした。
部屋を出て窓の外を見ると、暗くてよく見えないがそれでも流石は新幹線、矢のように風景が流れていく。
さっきまでもめていた部屋割りが決まったのか、隣の部屋もその隣もすべて鍵がかかり中から光が漏れていた。
7号車にある食堂車向かうと、そこには一人しかいなかった。
ただ俺がすぐに食べられるようにという配慮なのか、すでに俺の席と夕食が用意されていた。
そこに並んでいたのは久々に見た寿司だった。
ネタはマグロやサバ、タコ、イカといった王道のものが並んでいた、あとでメリアに聞いたら、「私が試しにあっちの魚を召喚してみて、料理長に作らせたの」といっていた。
それはそれでうれしいのだが、未知の魚をさばいた料理長のことを考えると浮かばれない。
そして料理が用意されていた席には、黒いナイトドレスを着た猫耳が特徴の女性が一人、座って待っていた。




