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14.話し合い

 二人は先ほどの態度から一変し、途中からお互いをまるでけん制しあうかのような形になってしまった。

 途中ステラは年頃の女の子のような態度で、俺は下心満載な感じで特に何かあったわけではなかったが、徐々に剣呑な空気に変わっていった。


 そんな二人は宿についてからすぐに食事をとろうと食堂に入り、二人は適当に腹にたまるものを各々頼み言葉も目も合わせることもなくただ黙々と食べ進めていった。

 食べ終わってからも二人は何事もなかったかのように割り当てられている部屋へと歩みを進めていった。


 気づけば外は闇と静寂に包まれ、空には赤みがかった月が一部の場所を照らし出しその場所だけが仄かに明るくなっている。

 部屋に入った二人は気まずそうにお互いが顔を合わせず各々座れそうなものに腰を掛けていた。

 そこに座ってから話をどちらかがし始めるかと思いきや二人とも何かをしていないと落ち着かなくなったのか、ステラは剣を鞘から抜き布で磨きはじめ、ちらりと横目で見たときにはその磨いた刀身は窓から射した月の光によって何とも言えない妖しい光を放っている。


 対する俺はホルスターに収めてあったP226を抜き出し、弾倉を抜きチェンバーチェックをする、それが終わるとすぐに肩にかけていたSIG716も同じように安全な状態にしていった、そしてそのままバレルクリーナー(長い棒状のものに布切れをつけたもの)で銃身内のススをとっていった。


 ステラはただただ刀身を布で磨き続けていくのに対し、俺は次から次へと新しいこと(弾抜き、簡易メンテナンスetc.)を行っているため集中して自分のことだけを考えることができる。

 そうではないステラは徐々にこの自分ではどうしようもないこの状況にイライラしはじめ、無意識に貧乏ゆすりをしていた。


 ふと、何を思ったのかステラは貧乏ゆすりをやめおもむろに立ち上がり、いきなりそして静かに俺に向けて切っ先を向けてきた。


 そうされて身の危険を感じた俺は自然な手つきでP226を素早く手に取り、殺意ではない何かを発する相手に向けていた。

 二人はお互いににらみ合い、そのまま石像のように固まってしまった。


 この状況に耐えきれなかった俺は銃口を静かにおろし、近くにあった台に銃をそっと置いた、そのまま空いた両手を今度は手のひらを前にして耳の前までもっていき無抵抗の意思表示をした。

 するとステラは何か満足した顔になったかと思うと、俺に向けていた剣をおろし腰に差していた鞘に納めた。


「急に剣を向けてしまい申し訳ない。ただ、今日会ったばかりの相手を本当に信頼して一緒に行動していいのか試したかった……」


「そうだったのか、こちらも武器を向けてしまったし、もうひと動作あった瞬間にもしかしたら撃ち殺してしまっていたのかもしれないのだから謝る必要はないと思う、この世界に生きている限りいつどこで殺されてもおかしくないのだからそうやって試したくなるのはわかるよ」


「しかも、男と女が同じ部屋であれば変な気を起こされかねないからそれを起こさせないように私の優位性を確立したかった」


「だから、さっきあんな風に態度が硬化していったんだね。そもそも素性の知らない人同士が一緒にいるだけで不安に駆られるのに、こうもなればなおさらだよね」


「私自身、人づき合いが苦手なのもあるからあまり気にしないでくれるとたすかる……かな」


「そっか分かった、そろそろ夜も遅いから寝ようか」


 ステラは今まで極度に緊張していたのか、糸の切れた人形のようにベットの上に崩れ落ちそのまま寝入ってしまった。

 それを見届けた俺はほぼ同時に眠りに入った。

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