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161.A-10近接航空支援機

 

 アルファ大隊がレッドスモーク(赤い発煙弾)によって敵の位置を示すと、それに向かって反撃を恐れず次々に急降下していった第23近接航空支援団第 231 飛行隊(コードネーム:アルデバラン隊)のA-10近接航空支援機には大きな特徴がある。


 まず、名前にもある近接航空支援というのは、地上部隊に直接的な火力支援を行う航空作戦のことで、これに使用される機種としてヘリコプターや固定翼機(プロペラ機・ジェット機)などが挙げられる。

 そして今回話にもあるように固定翼機を使うのだが、このA-10はまさに近接航空支援を主眼に作られた機体で、あえて低い巡航速度(約555km/h)で飛行し、大きな直線翼が発揮する短距離離陸性能と丈夫な降着装置によって悪条件下での作戦行動を可能としている。


 そして、特筆すべき特徴として2点あげられるのが、まず耐久性の高さである。

 A-10は非常に頑丈に作られていて対空機関砲や対空ミサイルの直撃に耐え(片方のエンジンに被弾しても帰還した例が挙げられる)、操縦系統も二重化された油圧系と予備の機械系の操縦系統によって機体の一部が破損しても帰投・着陸を可能としている。また、乗員の生存性を高めるためにコックピットの防弾性能も高められており前面風防は20㎜砲弾を防げるようになっている。


 もう一つが機首下部に取り付けられているGAU-8(アヴェンジャー)30㎜ガトリング砲だ、これはアメリカ軍の航空機搭載機関砲の中で最大・最重そして攻撃力の点で最強を誇る。

 そしてGAU-8機関砲は30㎜弾を毎分3900発で初速1067m/sの高サイクル・高初速で発射し1000mからだと38㎜の装甲を貫徹することができる。

 弾の速度が音速よりはるかに速い速度(およそマッハ3)で飛ぶ為、敵は発射された音を聞く間もなく斃れることになる。


 そんなA-10の編隊は、短い期間での訓練であったにもかかわらず彼らはぶつからずきれいに編隊を組み飛んできた。


「アルデバランリーダー、アルファ1、君らの頭上についた!これより攻撃を開始する!頭を下げていろ!」

「アルファ1、感謝する」


 その通信が流れた直後、アルデバラン隊は一機ずつ順番に強力な30㎜機関砲を地上にいる敵に的確に浴びせていく。


 パパパパパパパパッ!(着弾音)

 ヴォオォォォ!(発射音)


 このように、30㎜機関砲が着弾するときは地上からだと着弾音が先に聞こえ一拍遅れて発射音が聞こえてくる。

 敵からしたら恐ろしいことこの上ないが、味方からしたら非常に心強いだろう。

 30㎜弾が当たった標的は木っ端みじんに砕け散り、ほぼ原形をとどめていない、同じ場所に置いていた金属目標や竜のうろこで作られたものにも貫通し大きな穴をあけていた。


 その後順調に19機までが機銃掃射し終わっていた。

 しかし、あと一歩で作戦成功というところで、悲劇が起きてしまった。

 それは、19機目が射撃を終了し急旋回をして20機目と正面からすれ違おうとしたとき、運悪く20機目が射撃を開始してしまい、撃ったその弾が左翼に命中してしまったのだ。


「アルデバラン19、アルデバランリーダー、左翼先端に被弾した!なお操縦は可能!」

「アルデバランリーダー、アルデバラン19、何があった!」

「アルデバラン20の弾に当たりました!」

「な……、了解、すぐに基地に引き返せ!操縦はできるか?」

「な、何とか!」

「持ちこたえてくれ!」


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