154.セレンデンス基地へ
俺はさっそく高速に乗るなりアクセルをべた踏みにして一気に速度を上げていく、この車はオートマなので勝手にギアが上がっていく。
すると、すさまじい加速度のおかげで、面白いように目の前のメーターの数値が上がっていき、12秒後には最高速の600㎞/hまで上がっていた。
メリアはこのことに驚き最初はただ茫然としているだけだったが、時間がたつにつれ今までにない周りの景色の流れ方を見てたのしんでいた。
すさまじい速さで走り去っていってしまった俺たちに、当然ミスティア隊が乗っているハンヴィーが追い付けるはずもなく、ぐんぐん距離を離され、あっという間に見えなくなってしまった。
俺は魔術核融合炉搭載なので燃料とか燃費とか気にすることがなく、且つ次のハミルトンIC/JCTまで直線が続くため、リニアモーターカーと同程度の最高速600km/hを出し続けていた。
これができるのも、この道路がほぼまっすぐに作られ、尚且つ、誰も走っていないからなせることである。
(誰もいないところをこんな速度で走れるなんて、サイコー!!)
アルダートの町から出てすぐの進行方向左手には、国内二番目の高さを誇るエテケス山(標高10985m)がそびえ、その山頂には雪が積もりまるで富士山のように見える。
ちなみに国内最高峰(異世界最高峰)は、ガレアから東に10㎞のデスニア国境地帯にある標高23569mを誇るベレステット山がある。
そうこうしているうちに2時間がたち、ガンダルシアの町をとうに通り過ぎ、ハミルトンについていた。
ただ、今日の目的地はハミルトンではなく、セレンデンスなので、ハミルトンIC/JCTにてセレンデンス空港線に乗り換える。
当たり前だが、スピードが速いこともあって、ハミルトンIC/JCT通過から1時間40分ぐらいでセレンデンス空軍基地まで到着していた。
出発地のアルダート城から目的地であるセレンデンス空軍基地には、出発地から走行距離が1750㎞以上あるのにも関わらずたったの4時間ほどでついてしまっていた。
予定では夕方に付く気でいたが、それをはるかに上回る、朝の10時過ぎにはついてしまっていた。
ただ、どっかで暇をつぶすようなところもないし、ものすごく疲れているわけではなかったので、仕方がなくそのまま基地の南東にある門から内に入ることにした。
すると、当然予定にはない来訪者が来たため、基地の入り口にいる兵士たちは慌てだし、さらにその来訪者が王様と女王と来たものだから、焦せりすぎて転ぶ人も出るぐらいだった。
俺とメリアは乗っていた車から降り、少し待っていると、こんなに早く着いたにもかかわらず、空軍総司令官と総参謀長などの首脳陣がハンヴィーに乗って、来てくれた。
「大変お待たせいたしましたワタ国王陛下、並びにメリア女王陛下、セレンデンス空軍基地までご足労頂き心より感謝いたします」
「ごめんね、なんか予想以上に早く着いちゃったみたいで……」
「いえ、こちらとしては何の問題もございません、では、さっそく我が空軍司令部までご案内いたします」
そんな、堅苦しい物言いで空軍総司令官であるルーメル・クレイシ―はこちらを司令部までエスコートするといってきた。
俺は少し引っ掛かりを覚えながら、再びシロンに乗り込み彼女らの車列についていくことにした。
内政編 完




