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120.新たな敵

 

 戦闘が終わり、空域より一気に艦載機が帰ってきたので、キティーホークの飛行甲板上はまるで某国の巨大ターミナル駅のコンコースの混雑時の様相を呈していた。

 中にはアレスティングワイヤに引っ掛からず、着艦をやり直すためにタッチアンドゴーの要領でアフターバーナーを吹かせ再び飛び立ってゆく姿が見られた。おそらく先ほどの初戦闘と混乱によって、パイロットたちは相当消耗したことがうかがえる。


 このアレスティングワイヤとは艦載機の後方下部ついているフックを引っ掛け急制動をかける為の空母に搭載された金属製の太い縄のようなもののことだ。これは船の後方に横断する形で縦並びに備え付けられているのだが、艦載機のフックがそれに引っ掛からないと着陸時約200㎞/h出ている機体を止めることができず、オーバーランしてしまいそのまま艦首から海へと真っ逆さまに落ちてしまう。そのため止められなかった場合はすぐにエンジン全開にして再び着陸態勢に戻るのだ。


 俺はウィスティリアと一緒に彼らの着艦を見守ろうと、艦橋に近い上甲板で見ていた。


「陛下、まことに勝手なことだとは思いますが、私を航空団司令から辞任させていただけないでしょうか?」

「ダメだ、というよりこんなことで諦めるのか?君らの悲願を達成したいんじゃないのか?しかも今回の件は俺にも非がある」

「いえ、陛下には非はありません、あの時感情的になってあの場で冷静な判断ができなかった私自身に非があります、こんな私には航空団はもとより一指揮官として成り立ちません」

「そうかもしれないが、今回の件は根本的な大きな問題があるんだ」


 この作戦中に大きな問題が二つ浮き彫りになっていた。一つはレーダーの情報に頼りすぎたため分析をせずそのまま行動に移してしまったこと、もう一つがその情報を空母に乗り合わせている司令部内でしっかりと情報共有出来ていなかったため、それを起因とする、悪い言い方をすればくだらないプライドの張り合いが起きてしまっていたことが挙げられる。


 そして根本的な問題として、LiSMの能力で隊員たちに運用能力自体を付与することはできるが、経験というものまでは付与できないので、特にハイテク技術や先進的な運用思想が含まれているものについてはこの世界の人が扱うとなるとどうしたってハードルが高くなる。これまで銃の運用が上手くいっていたのは、あれは現代の人たちでも少しの訓練で運用できるほど比較的簡単に扱うことができるからで、且つ、もともとが対人戦闘や矢や魔法が飛んでくることにも慣れているという戦士として戦いにおいての“経験”があったからだ。


 ただ、逆に今回このように問題が浮き彫りになってくれたおかげで次に出す兵器を実戦配備する前に訓練期間をもっと長く設けなければいけないことが分かった、もとより訓練のことについては短すぎたと前々から思っていたが甘く考えすぎていた。


「……ということだから、俺の考えが甘かった部分がある、特に今回はそれが顕著に出てしまった。申し訳ない」


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