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5.苦行

 一行はセレデアへと向かうべく果てしなく続いているような草原の真ん中を進んでゆく。


 エレザたちは元々向かっていたのはセレデアではなく、この街道の反対側にあるエルベ村と呼ばれる村付近へ向かっていた。


 なんでもその村には最近、モンスターが何度も襲撃している状況のようだ。

 そのモンスターはリザードマンといって、簡単に説明するとトカゲが二足歩行しているようなモンスターで知性は他のモンスターよりある。


 リザードマンは時々村や町を集団で襲撃し武器や金品を盗み、女性や子供を誘拐しているようだ。

 最も頭がいいリザードマンは片言ではあるものの、人の言葉を操る事が出来るようで、さらに文章を理解することのできる個体もいる。

 極稀に人間と共に生活しているものや、魔法を習得している個体もいるようだ。



 エレザ達は本来そのモンスターの討伐に向かうはずであったが、先程の街道にも時折出没するという情報もあって、普段はほかの街道から行った方が近道だったのだが、その情報を元にわざわざ遠回りでエルベ村に向かっていた。


 しかし、ミレイユもちらと言ったようにこの情報は元々嘘で、エレザ達をおびき寄せるために仕組まれた罠であったらしい。

 さらにさっき倒した見てくれは盗賊のような集団は、実際は盗賊に変装したこの国の敵国であるデスニア帝国の兵だったらしい。

 しかも、身につけていた装備から推察すると、帝国の中でも有名な暗殺部隊の一部だったらしい。

 

「負傷者も多くなってしまったし、こういう状況が起きてしまったから討伐は中止してすぐにでも王都に行って報告しなければならないんだ」


 エレザは困惑した面持ちで、半分自分に言い聞かせるように話す。


「ちなみに、セレデアまでどれぐらいかかるんだ?」

「ここからだと、そんなにかからないはずだぞ?」


 とりあえず俺はこの後一緒にエレザたちに付いて行き冒険者ギルドに登録しようと思う。

 彼女達曰く、登録していないと後で生活するうえで色々と不便だという。


 そこで、モンスター討伐をしていって当面の生活費を稼ぐことにする。

 ありがたいことに宿代は収入が安定するまでエレザがしばらく出してくれるらしい。


 救ってくれたせめてものお礼という事だろう。


 馬車とともに歩くこと大体3時間ぐらい、すると目の前には周りを石壁で囲われた場所が見えてきた。


 「ほら見えてきたぞ、あれがセレデアだ」


 エレザが馬車の中から身を乗り出しながら声をかけてくれたが、俺は顔をあげてうなずくのが限界だった。


 正直この時の俺は足がかなり悲鳴を上げていた。


 元の世界では、会社で毎日軽く筋トレはしていたが、慣れない服装に総重量が約4.5㎏あるSIG716と腰にはホルスターに収めたP226もあるので歩くのが大変なのは当然だろう。

 しかもこの異世界に来てから何も飲まず食わず。


 元の世界では水泳や長距離走は得意な方だったが、自衛隊員でもなかった俺にとってこれではただの苦行だ。

 

 (やばい、行軍って思った以上にきつい。しかも休憩なしはつらい、もしや俺って今訓練されてる?)


 そんな俺の表情を見てわかってくれたのか、エレザは俺に水の入った水筒を渡してくれた。

 相当のどが渇いていたので、受け取ったと同時に一気に水を口に含みすぐに飲み干してしまった。

 それを見て何がおかしかったのかわからないが皆に笑われてしまった。

 少し恥ずかしくなりエレザを見ると、何かがツボに入ったのか腹を抱えて笑っている。


 (人が苦しんでいるのを見て何が可笑しいんだ!)


 とはいえ俺はそんなエレザに対して文句を言うほどの体力など残っていないので、心の中で毒づく程度にとどめる。

 そうこうしているうちにセレデアの門の前までやってきていた。


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魔法の国と異世界転移者
←いつも読んで頂きありがとうございます。
拙作のスピンオフ作品です!(執筆者は別人)
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― 新着の感想 ―
[一言] 「そんな俺の表情を見てわかってくれたのか、エレザは俺に水の入った水筒を渡してくれた」 何でも出せるのに、服装などを整えるときに、リュックサックと飲み物、チョコか飴くらいサバゲームしていたの…
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