あとがきと解説
読んでくださって有難う御座います。
あとがきとして。
「囀り石」
名前からして気に入っているんですよね。
なんて言うか言葉の響きがとても綺麗なんですよねぇ。
そもそもこの「囀り石」と言う妖怪は、石の精霊であるとか、石に纏わる死に方をした人の霊魂が石の精気と交わって因縁あって妖怪になったか…と言う見解が多い様です。
中には観音様の化身って言われてる「呼ばわり石」と言うのもありますな。
実際に囀り石と呼ばれているのは上州(群馬県)吾妻群の二間(約3.6m)の大きな三角形の石だけの様ですね。
さわりを話しますと、中国地方からはるばる親の仇討ちに来た武士が、その石の上(横の説も有り)で眠ると、その仇敵の居場所から色々の情報を彼にもたらし、武士は、見事仇を果たす。
その後も何かにつけ色々を囁いたので村人はその石を崇めて祀ったが、それと知らぬ旅人が囁きに恐れ、
石を刀で斬り付けてしまったため二度と喋らなくなってしまった…とまぁこんな感じだそうです。
先にも少し書きましたが、静岡県は駿東群にも「呼ばわり石」と呼ばれる大石があったそうで、宝永年間に起こった洪水の前に「水がでるぞ!急いで逃げろ!!」と叫んだモノがいて村人達はそれのお陰で難を逃れた。その後、声の方に言ってみるとその大石があった…で、村人達は皆、「これは観音様の化身に違いない」とその石を祀ったと言う…ね。実になんか素敵な話なワケですよ。
他にも石の傍らで力尽きた母が、子に仇を討たせると言う話や宝石に宿った魔力云々の話もある位ですし
石と言うのは、どうもそぅ言った魔力のヒトツを十二分に秘めていると考えられるのじゃないか、と常々感じるワケなのです。
個人的には「囀り石」と言う名前が実に浪漫に溢れている感じがするのでモティーフとしました。
実際の囀り石は声の主は姿を現しませんが、「視得る人」には視えるのではないかなぁと、想像を膨らませてその風景を描きだしてみた次第であります。
不足分や物語上の伝承の変質に対して、御不満等あらせられる方も多いかと想われますが
「目に見えぬ者達の形はヒトツではナイのではないか?」と言うワタクシの探究心だけは買っていただけたら、と心より想います。
実はこの小説のベースを考えたのは既に13年近く前になります。
表現ベタなワタクシではありますが、なんやかんやでこの様な形で世の中に出せた事を実に嬉しく想います。
この「闇の一族」シリーズは、大好きな色々な妖怪達を犬神流にアレンジして、どんどん描いていこうと想ってますので、もし、少しでも気に入って頂けたら、また是非遊びに来てくださいませ!
2018年12月02日(日) 犬神 まみや 拝
またお会いしましょう!