3、残念女神
遅れてしまいすみません
「ふむ、こちらの世界でやるべきことはこんなものかの」
ガムドさんがそう言うと、地面に魔法陣のようなものが浮かび上がった。
「その魔方陣の中に入れば転生先の女神の元へ行くことが出来る。詳しい事はそいつからきいておくれ」
「ああ、分かった」
俺はそういうと、魔方陣に向かって一歩踏み出した。
視界が白くなったと思った次の瞬間、俺は白一色の神殿のような場所に立っていた。
現世で言うパルテ〇ン神殿を大きくしたような感じだ。
「あなたが池田雅紀さんですね?」
美しく、澄んだ声が頭に響いた。
その直後、目の前の空間が輝いたかと思うと、プラチナブロンドの長髪をなびかせた、翠眼の女性が立っていた。
「ガムドさんから話は聞いています。ですが……面倒なので『完全理解』と『完全記憶』と『並列思考』を与えておきますね。」
……どうやら女神様はめんどくさがりの残念女神様だったようだ。
「さて、先程の3つのスキルがあれば理解力も向上したでしょう。…………どうやらそもそもの体のスペックが低すぎるようですね。」
ほっとけ!頭の悪さは自覚してるんだから!
……うん、自分で言ってて虚しくなるからやめよう。
「簡単に済むように少し体を組み替えますね?」
「え、ちょっと……」
いきなり女神様は馬鹿げたことを言い出した。
「知力の高い種族……ハイエルフ……エルフ族は女性の方が知力が高く、子供の方が知識吸収が早かったはず……よし、これでいいですね。」
女神がなにかぶつぶつと言った直後、俺は意識を失った。
目を覚ますと、体に違和感があった。
まず、体がなんとなく動かしづらい。
筋力もないように思える。
髪も伸び、胸まで白色の髪が下がっている。
そして何より、どう見ても体が縮んでいる。
「は???」
落ち着け俺、たしか俺は唐突に死んで転生神に色々もらって異世界の残念女神に会ってスキルをもらって……体を組み替えられた……?
「理解出来たようですね。残念女神というのは少し気になりますが」
どうやら俺は異世界に行く前に性別が変わってしまったらしい。
__________________________
「まあ、この世界のことはざっとこれくらいですね」
長々としていたが、要約すると、
1、この世界には、人族、獣、魔獣、魔人、亜人、の五種族がいて、人族は純粋な人間、ヒューマンのこと。獣は魔石を持たない獣のことで、魔石を持つ獣を魔獣と呼ぶ。ゴブリンやオークや鬼人や悪魔は魔人に分類され、エルフやドワーフやドリアードや獣人や天使族などの魔人では無い人型の生き物のことを亜人と呼ぶらしい。また、人族、魔人、亜人をまとめて人と呼んだり、魔獣と魔人をまとめて魔物と呼ぶところもあるらしい。
2、この世界は、五つの人が住む大陸があり、その外側にはとても広い海が広がっていて、それを越すとまだ人の手がほとんど入っていない大陸があるらしい。それぞれの大陸の名前は、ミアン大陸、ミドゥ大陸、ミトロワ大陸、ミキャトル大陸、ミサンク大陸と言い、ミトロワとミサンクは魔族(魔王と呼ばれる王が複数いるため、大陸の中でも分かれるが)、それ以外はミアンが獣人、ミドゥが人族、一番大きいミキャトルはエルフの郷や獣人の郷など亜人の村と人間の街が点在してそれぞれがその場所を支配しているらしい。
3、この世界には魔王という肩書きと称号がそれぞれあり、肩書きは多くの魔族を従える、または自分自身が強大な魔物で、尚且つ領地を持ち、他の魔王と同等の力によって他の魔王に認められることでなる存在。そして称号の魔王は、大量殺戮(ただし人でも魔物でもいい)や、強大な魔族を率いる事で得られる、わりと制限がゆるいものだ。
4、魔王と同じように勇者という肩書きと称号があり、肩書きは、それぞれの大陸の王に任命される、悪しき心を持たない強者らしい。そして称号勇者は、大量の悪意のある魔族や人を葬り、それによって大勢の人々を救うことで得られる称号だという話だ。
まあ上の条件から、勇者で魔王とかいうワケわからないことにもなりうる訳だな。
いっそそれを目指してみるか?
馬鹿なことを考えているがこれも女神様に筒抜けなのか…………あれ?これ俺が喋る必要なくないか?
まあいいか。
転生自体は2話後位になるかと思います。
__________________________
作者の事情により暫くあいだが空きそうです。
割とすぐとか言いながらこんなことに……本当に申し訳ないありません。