流星群と二人の距離
夏休みにペルセウス座流星群の観測会を俺と柊二で計画を立てていた。
観測会当日、山乃丘広場に七星以外の五人が集まった。
「七星はまだ来てないね。さやか、ちゃんと場所伝えた?」香世が言った。
「やだアタシ、いつもの星の山公園に集合って間違えてメールしちゃってる。酔っぱらっちゃってたから」
「仕方ないですねー。僕が車で迎えに行きますよ」と真鍋が言うと柊二は
「いや、ここは俺が行くよ。真鍋は望遠鏡の設定をしといてくれ」と言い、一人ですぐに行ってしまった。その日から二人は急接近したんだったな。
山乃丘広場に柊二と七星が着いた。俺は二人の距離がなんだか以前より近くなったような気がした。だけど今はペルセウス座流星群を見ることに集中した。
ひとつ、またひとつと流れ出し、みんなが自然と笑顔になり、星の魅力をひしひしと感じた。
俺はこの日、部長として締めくくった。
「今日は天気にも恵まれて、みんなで観測会ができてよかった。写真は真鍋が撮ってくれているから今度プリントしよう。みんな、流れ星に願いをしたか?叶うといいな。次回の大きな観測会は12月のふたご座流星群だな。柊二と俺はそれが最後の観測会となるな。あと少しの活動だけどみんな最後までよろしく」
「やだ、アタシったら願い事するの忘れちゃった。今からでも遅くないよね?ね?」さやかが取り乱していた。
「私はかっこよくて優しくてお金持ちの彼氏ができますようにって願ったわ」と香世が言った。
「僕はどこかの天文台に就職できますようにって願いました」
真鍋は現実的な願いだったな。そういう俺も天文雑誌の編集者になりたい…だったな。柊二と七星は何も言ってなかったっけ。
翌日、柊二が昨日の七星を迎えに行った時のやりとりを教えてくれた。
「おーい七星ー今日はここじゃないんだ。ごめんな。さやかを連絡係にするのはやっぱだめだな」
「わざわざ迎えに来ていただいてありがとうございます」
「もうタメ口でいいよ。じゃ車に乗って。そういえばこの前少し話してくれたけど、彼氏にフラれた理由ってなに?」
「えっ?聞きたいですか」
「だからタメ口で!まぁ話したくないならいいんだけど。七星は純粋そうで性格も良さそうだし、フラれるなんて思えないんだよね」
「そういうふうに見てもらえて嬉しい。でもそんなことないよ。フラれた理由は、私、料理が超下手で彼は調理師なんだけど私の料理がまずくてまずくて、それがいやだったみたい。笑っちゃうでしょ」
「そ、そうなんだね…でも俺が調理師なら彼女に料理を教えて上手くなってもらおうって思っちゃうけどね」
「ありがとう。柊二先輩は優しいのね。彼はプライドが高い人だから。別れてよかった」
「なぁ、今度二人でメシ行かない?」
「うん。行こう」
柊二と七星はよくデートをするようになり二人は付き合いだした。柊二は七星のことをよく俺に話してくれた。
「なぁ悠紀、七星の誕生日は4月なんだけどプレゼントを今から考え中でさー」とか「七星は小学校の教師になるのが夢だから教員免許取れるように俺に何ができるだろう」とか言ってた。適当に聞き流していたけどまさか俺も七星のことをこんなにも好きになるなんて、その時は思っていなかった。