星の魅力
ペルセウス座流星群の観測会の日、山乃丘広場に集合した。
「工藤さん、やっと教員採用試験が終わりました。あとは結果を待つのみ。今日は楽しみましょう」
「浜田君おつかれ。今日はよろしく」
今日は天気が良くて新月で流星群を見るのに好条件だ。とてもきれいだ。
「浜田君はどうして天文部に入ったんだ?まだ聞いてなかったね。やっぱり君も相当星好き?」
「いやぁ、初めは正直興味なかったんです。だけど工藤さんも知ってる七星先輩が、大学時代に、ある先輩に星座のうんちくをたくさん聞かされたおかげで七星先輩も星に詳しくなってそれで僕にも星の魅力をよく語ってくれてたんです。それで僕も次第に興味を持ち始めました」
へぇー、七星がそんなことを。きっと柊二から教えてもらったんだろう。
「そういえば七星先輩、その人から金星についても教わったそうで、なかでも自分の実家で飼ってる犬の名前がビーナスらしく、女神様のようにすごくかわいくてその名前つけたみたいです。印象的だったんでよく覚えてます」
それって…俺のことじゃねーか。ハハハハと浜田君と笑い合った。
夜が更けて流星群もピークで、なんだか天文部のみんなもキラキラしている。あの頃の俺達もこんなだったかな。
数ヶ月にわたる東陽大学天文部の密着取材も終わり、俺は仕上げの原稿を書いた。協力してくれた天文部のみんなや読者に楽しんでもらえるようないい一冊にしたい。
編集長に原稿を提出してから数日が過ぎた。
「工藤、ちょっといいか?」編集長から呼ばれた。「原稿読んだぞ。おまえ、なかなか素質あるな。さすが元天文部だ。次号も頼むぞ」
「はっ、はい!ありがとうございます」とてもうれしい。発売日が楽しみだ。