新天文部
俺は真鍋に頼んで母校の天文部を取材させてもらうことにした。
「初めまして。工藤悠紀です。真鍋から聞いてると思うけどこの大学のOBで当時天文部部長をやってました。みんなの活動を数ヶ月取材させてもらいますのでよろしく」
「僕は四年で部長の浜田です。この写真に写ってる人ですよね。お会いできて光栄です。先輩方の活躍を真鍋さんから聞いてました。よろしくお願いします」
とても感じのいい学生だ。あの頃に戻ったかのように俺もすぐに馴染んでいった。
近々、皆既日食が日本で見られるから天文部のみんなで集まるのに俺も同行させてもらうことにした。そんななか、さやかからメールが届いた。
”先輩にメールしようか迷ったんだけど。昨日ね仕事中に七星らしき子を見かけたのよ。銀行のATMのところで並んでる人の中にいたかもしれない。アタシは仕事中だったから話かけることはできなかったけど”
俺はこのメールを見てドキッとした。五年以上も封じ込めていた感情が溢れ出してきた。さらにメールが届いた。
”あとね何とか小学校って書いてる封筒を手に持ってた。チラッと見えただけだからどこの小学校かわからないけど、きっと今も先生として働いてるんじゃないかな。余計なことかもしれないけど、この前先輩と飲んだ時、七星のことまだ想ってるんじゃないかって顔してたよ”
”ありがとな、さやか”
今の俺にはこれぐらいの返事しかすることができなかった。七星に会いたいとずっと思っていたが会ってどうする…柊二のことを吹っ切ったのかどうかわからないけど、あの子は俺に会うと否が応でも柊二のことを思い出してしまうだろう。