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ひよっこ神様異世界謳歌記  作者: 綾織 茅
イタズラよりお菓子
54/310

イタズラよりお菓子―1

 



「ひとーつ、かみしゃまのちからはむやみにつかいません」

「うん」

「ふたーつ、かってにおでかけしません」

「うん」

「みーっつ、オヤツはいちにちひとつまで」

「うん」

「よーっつ、おさけはぜったいにのみません!」

「そう」



 以上、私専用ルールでした。



 大広間の鴨居にかけられているここでの皆が守る規範の横に、この間の一件の翌日から私専用のルールが書かれた紙が貼られている。


 毎朝の日課である綾芽を起こす・ラジオ体操に、大広間に行ってルールの読み上げが追加された。



 ……未だに思うけど、最後のは不可抗力だよね~?



 それに、次の日頭ガンガンしたからお酒はもう飲まない。


 痛いのはイヤ!



「さて、ほな朝ご飯食べに行こか」

「あい!」



 手を繋いで、朝食が待っている食堂へ向かう。



 今日のは何かな~?


 昨日はベーコンエッグサンドとコンソメスープとフルーツヨーグルト、一昨日はシシリアンライス、そのまた昨日は~パンケーキとみかんゼリー。


 もちろん、おじさん達はこれで足りるわけがないから別メニューです。


 さすが厨房の皆さん。


 お手数かけます。ありがとう!



「んふふふ~」



 食堂へ着くと、皆に挨拶して回り、すっかり定位置と化した厨房から一番近い席に私専用の椅子をズルズルと押していく。


 途中で手伝ってくれようとするおじさんもいるけど、ご心配無用です、ありがとう。


 その間に綾芽が自分の分と私の分を席まで持ってきてくれる。



 いい匂いが溢れるご飯時の食堂は二番目に好きな場所だ。


 一番目?


 ふふふ、内緒!



 もう恒例となった綾芽に向かって手を万歳。


 これをすると、綾芽が抱き上げて椅子に乗っけてくれる。



 さてさて、本日の朝食とご対面!



「フォ~!」



 今日の朝食はスコーンとフルーツ盛り、あと林檎サラダ。


 まったくもう。けしからんほどに私のお好みを分かっていらっしゃる。


 しかも栄養バランスもきちんと忘れない。さすがです。



「いただきましゅ」



 早速スコーンを取ろうとすると、綾芽が横から皿ごと取っていった。



「……そんな顔せんでも、取って食おうなんて思ってへんて」



 その言葉通り、綾芽はスコーンにせっせとついていた苺ジャムやブルーベリージャムを塗っていく。


 ……なんだか……すまんね、勘違いして。



「ほら、もうえぇよ。膝にちゃんと紙のやつ引いた?」

「あい」

「なら、腹の虫が暴走せんうちに早う食べ」

「はーい!」



 五月蠅うるさいもんね、ヤツは。


 食堂中に聞かれてしまったらコトだ。



 薫くん達が私用にってわざわざ一口サイズに作ってくれてるから、パクパク何個でもいけちゃいますねぇ。


 あ、これ、中にレーズンが入ってる! こっちはチョコだ!



 綾芽も事前に聞いていたのか、ジャムは何も入っていないものにだけ塗られていた。



 ……ホント嬉しいなぁ、みんなの心遣いが。



「……りょーりにんさんたち、きょうもおいし~!」

「チビちゃん、声大きいよ」



 厨房の料理人さん達がくすぐったそうに笑っている。


 それを見て、私もさらに笑顔になっていく。



 今日はこの後、夏生さんに大事なお話しの用事が控えている。


 その前の景気づけに私にとってはぴったりだった。




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