表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひよっこ神様異世界謳歌記  作者: 綾織 茅
修行は本場の土地で
164/310

修行は本場の土地で―1








 暗闇にぼんやりと灯される雪洞(ぼんぼり)に照らされて、俯く女の人からすすり泣く声が時折聞こえてくる。


 女の人が着ているのはとても綺麗で重そうな十二単と呼ばれるものだ。緋色の闇の中でも艶があると分かる髪を長く後ろに垂らしている。



「どうしてないてるの?」



 声をかけると、その女の人がゆっくりと顔を上げてこちらへ振り向いた。


 その女の人の顔は目と口の部分が黒く空洞になっていて、人の顔の形を成していなかった。



「愛していたの。愛していたのよ、誰よりも。あの子を」



 口がないはずなのに、きちんと聞き取れる言葉が耳に届く。


 不思議と怖くもない。いつもだったら振り返られた時点でアウトだっただろうに。



「いえばいいよ。あいしてるって。だいすきって」



 言葉で、行動で。


 何かを伝えたいなら、その人の前で。



「……もう、遅いのよ」

「え?」



 女の人の傍で唯一この空間を照らしていた雪洞から光がフッと消え、私の意識もそこで途切れた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ